3バックを採用する西野ジャパンの全容が見えてきた。日本代表は27日、千葉県内で国際親善試合ガーナ戦(30日=日産ス)に備えた練習を行った。離脱したMF青山敏弘(広島)をのぞく26選手がそろった中、26日から2日間で6本のフォーメーション練習を行った。DFラインの長谷部誠、吉田麻也、槙野智章と、左ウイングバック(WB)長友佑都、右WB原口元気、ボランチ山口蛍を中心とした守備の基本陣形が西野ジャパンの骨格となる。

 まだ選手同士の距離や、位置取りに不慣れさはある。3バックとは、つまり両WBを含めると5バック。自軍ゴール前で守りを固めるには、それぞれの位置関係が重要になってくる。練習終盤のフォーメーション練習では、西野監督が何度もプレーを止めて、両WBの位置と、3バックとの距離感、ボランチの狙いどころなどを説明した。

 昨夜の宿舎で1時間、マンチェスター・シティーなどの3バックを映像で確認し、イメージを膨らませた。3バックの真ん中を担う長谷部は「どちらかというと、3バックを攻撃的な意味合いで受けとめています」と言い、日本代表としてはチャレンジとなる新システムに意欲を示した。

 日本代表では長く4バックが採用されてきた。それだけに、この短期間での習得には不安の声もある。さらにポジション争いは激しくなっている。追い詰められた感もあるが、選手の反応はどれも大人だ。左ヒザの負傷から回復途中の右WBの酒井宏は「元気君と争ってますけど、それは理想です。マルセイユでもライバルはいますし。あれだけタイプの違う元気君が相手ですけど、いいことです」と穏やかだった。

 3バックと両WB、そしてボランチでは山口、さらにトップの大迫、左シャドーの宇佐美が2日間でほぼ主力組に入った。西野体制の骨組みが具体的に見えてきた中で、本田は右のシャドーを原口と争うことになる。香川も宇佐美がライバルとなり、岡崎は大迫の次にトップに入る可能性を、この日の練習でうかがわせた。

 気がつけばもう現実的な布陣と、戦い方が見えている。その中で本田、香川、岡崎の苦戦は続いている。もう、ギリギリの生き残りは佳境を迎えている。酒井宏の言葉が力強かった。「練習試合3つ負けても、本番で3つ勝ってグループ突破すれば、誰も文句ないわけですからね」。初挑戦の3バックに向き合いながら、全員が前のめりな姿勢を崩さない。【井上真】