日本サッカー協会は26日、都内で理事会を開催し、次期日本代表監督に森保一氏(49)が就任することを決めた。

 20年東京五輪の男子日本代表監督と、A代表監督を兼任する。

 日本協会では、監督選定の重責を、日本代表の強化などをつかさどる技術委員会が担っている。

 所管事項の最優先事項に「日本を代表するチームの監督候補者の推挙」とある同委員会には、関塚隆委員長、山本昌邦副委員長ら、11人の委員がいる。関塚、山本の両氏はともに五輪男子代表監督の経験者だ。

 もともと、協会内部にはワールドカップ(W杯)ロシア大会前から、東京五輪の日本代表監督を務める森保氏に、A代表との兼任を任せたいプランがあった。

 5月の会議ではW杯を率いる西野朗監督に続き、W杯後の新監督も日本人に任せる方向性が出ていた。

 ただ、緊急登板だった西野監督がロシア大会で誰もが認める結果を残した。短期間で一気にチームをまとめ、日本人の特性を生かした日本らしい戦い、日本協会やトップである田嶋会長の言うところの「ジャパンズ・ウエー(日本らしいやり方)」で世界を驚かせた。

 1次リーグの期間中には、西野監督続投の方向性が出て、水面下で打診したが、緊急登板で全てをかけて指揮した西野監督は7月末までの任期をまっとうし、退任すると固辞。これで、当初のプランだった森保氏に任せる方向性が固まった。

 もともと、日本協会は、西野監督のもとでコーチを務める森保氏に西野→森保とバトンタッチし、近い将来、A代表も任せる方針だったため、スムーズにシフトチェンジできた。

 兼任により、A代表と次世代を担う五輪代表を、森保監督が同じ指針、基準で率い、一気の強化と底上げをはかることが可能になる。A代表の喫緊の課題である世代交代も、一気にはかることができる。

 両代表チームは、活動日程が重なる部分が多く、サポート体制の構築は急務だが、五輪代表は自国開催で、出場権を争うアジア予選を戦う必要がない。何より森保氏は、W杯ロシア大会で日本中を沸かせた西野ジャパンをコーチとして支え、全てを最も近くで見て、あのW杯もすべて経験している。

 ベルギーに悪夢のカウンターで屈したあの悔しさも含め、ロシアで日本代表が経験した全てを引き継ぐには最適任者で、最善の選択といえそうだ。

 日本協会の内部では早くに森保氏に任せる方向性が出ていた。外国人監督からの売り込みも山ほどあったが、あくまで売り込みに過ぎなかった。それには目もくれず、地に足をつけ日本人路線で監督選定を進めた。外国人と具体的な交渉に入り、それが破談となったような事実はない。

 日本代表がW杯で8強入りを逃し、帰国したのが7月5日だった。少し時間がかかったのは、全ての手続きをへて、慎重に進めてきたから。

 帰国から数日のうちに、水面下で森保氏側に意思確認などを済ませ、20日に技術員会を開いた。ここで人選を一任された関塚委員長が、田嶋会長らとごく少数での選定委員会を組織。担当者に詰めの交渉を指示するなどし、意思決定機関の理事会に諮った。

 すべての手続きを踏み、ついに「7・26」、森保ジャパンが誕生の運びとなった。