トルクメニスタンってどんな国? サッカー日本代表(FIFAランク50位)は9日、アジア杯UAE大会の1次リーグ初戦、トルクメニスタン戦(同127位)に臨む。在日トルクメニスタン大使館によると、現在、日本に滞在しているトルクメニスタン人はわずか40人ほどで、そのほとんどが留学生だという。そこで、同国から東海大に留学中の工学部応用化学科1年のガラハノフ・ベゲンチさん(24)と、工学部電気電子工学科1年のケシコフ・タヒルさん(21)に、母国のサッカー事情や日本の印象などを聞いてみた。

2人はトルクメニスタンの首都アシガバート出身。アジア杯の舞台で母国が日本と対戦することを楽しみにしていたといい、タヒルさんは「日本はアジア杯で4度も優勝しているし、アジアトップの国。W杯でもいいサッカーをしているところを昔からよく見ていた」とうれしそうに話した。トルクメニスタンには「勝つか、いい経験になるか」ということわざがあるといい「その通りの状況だと思う。スコア予想は1-1の引き分けかな」と笑顔をみせた。

中央アジア南西部、国の西側がカスピ海に面しているトルクメニスタンは、かつては旧ソビエト連邦の構成国だった。その影響もあり、国内ではロシアの番組も多く放映されている。そのため、かつてロシアリーグのCSKAモスクワでプレーしていたMF本田圭佑の知名度は抜群。ベゲンチさんによると、10年W杯南アフリカ大会のデンマーク戦で本田の決めたFKがトルクメニスタン国内でも何度もハイライトで流れていた影響も大きいという。他にもイングランドのプレミアリーグなど欧州各国のリーグの映像はスポーツニュースで取り上げられているといい、ベゲンチさんは「イングランドでプレーしていたMF香川真司やDF吉田麻也らの名前も知られていますね」と教えてくれた。最近はJ1ヴィッセル神戸にスペインの世界的スターであるMFイニエスタが加入したこともあり、Jリーグの注目度も上がってきているという。

トルクメニスタンの選手についても聞いてみた。日本代表の愛称「サムライブルー」と同じように、緑を基調としたユニホームから、同国代表は「エメラルド」と呼ばれ、親しまれているという。エースは国内でも名実ともにンバーワンだというFWオラジャヘドフ(26)だ。身長180センチのストライカーで、チームでは背番号9を背負う。ベゲンチさんは、ほかにも背番号7のFWアマノフ(28)や、DFアンナオラゾフ(28)の名も挙げ「トルクメニスタン人は身長180センチ以上と背が高い人が多い。フィジカル的な部分では日本にも負けないのではないか」と分析。トルクメニスタン人の気質については「日本に来てもよく言われるのは、とてもフレンドリーで明るいということ。スポーツでは相手を尊敬し、最後まで諦めずに戦うんだ」。国内プロリーグも整備されており「最近では幼い頃にスカウトされて海外クラブの下部組織に入る選手も増えた。自分の知り合いもスペインのクラブへ入ったよ」と話した。

最後に2人は「これだけは言いたい」と、トルクメニスタンの魅力も教えてくれた。ベゲンチさんは「日本の方にトルクメニスタンのことはまだあまり知られていないと感じている。アシガバートは『愛の街』という意味で、白い大理石でつくられた建物が並ぶきれいな街です。ぜひ機会があれば訪れてみてください」とアピール。2人は日本で学び、将来はトルクメニスタンに戻って技術者として働くことを夢見ている。ベゲンチさんは「トルクメニスタンは世界有数の天然ガス産出国で、日本企業の工場も多く建設されている。ここで学んだ知識を生かして働き、日本との懸け橋のような存在になりたい」。タヒルさんも「自分はソーラーパネルやソーラーカーの研究者として母国に貢献したい」。試合当日は同じトルクメニスタンの留学生らと大学で応援する。全てが“いい経験”となり、将来へとつながっていく。【松尾幸之介】