森保ジャパンに3バックのススメ-。サッカー日本代表が22日の国際親善試合キリンチャレンジ杯(日産ス)でコロンビアに0-1と敗れ、森保一監督(50)就任後13試合目で初の無得点となった。担当記者が独自の視点で分析する「NIKKAN EYE」では、課題の得点力アップのため森保監督の代名詞といえる「3バック」導入を提案する。26日に国際親善試合、ボリビア戦(ノエスタ)が行われる。

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オプションとして「3バック」を推したい理由は3つある。

<1>新システムで「大迫頼み」からの脱却

森保監督は、広島の監督時代に3バックでJリーグ3度制覇した。最前線は1トップで、裏への抜けだしを武器にする佐藤寿人や浅野拓磨という、大迫とは違うタイプのFWだった。ポストプレーヤーが不在でも戦える選択肢を示すことが重要だ。

ウイングバックを使った「3-4-2-1」で、攻撃陣をよりゴールの近くに配する。攻撃の核であるMF中島は左サイドからシャドーに。所属するアルドハイルでも同じ起用法で慣れている。よりゴールに近い位置でプレーでき、シュートチャンスも増える。隣にはアイデア豊富で時間もつくれるMF香川。中島だけでなく右から攻め上がるMF堂安、1トップの南野は下がって0トップのような形になってもいい。香川と「三銃士」(南野、堂安、中島)が絡んで起こす化学反応にも期待できる。

<2>歴史を覆す守備陣の進化

日本代表は過去に3バックで失敗していた。14年W杯ブラジル大会を率いたザッケローニ監督も、18年W杯ロシア大会を率いた西野朗監督も、戦術のオプションとして取り入れようとした。だが、1対1のデュエル(球際の戦い)で抑え込む「個の守備力」への不安が残り、断念されてきた。現在ではDF冨安、昌子とも海外で3バックでプレーしている。今回は招集されていないが、DF吉田もしかりだ。親善試合は2人がどれだけ戦えるかを見定めるいい機会だ。

<3>東京五輪世代への波及効果

20年東京五輪で中核を担うU-22(22歳以下)日本代表は現在、20年U-23アジア選手権予選(ミャンマー)に出場している。コロンビア戦と同日に行われたプレ五輪イヤーの1発目となる試合で、採用されたのは3バックだった。森保監督が兼任となることで、一貫した強化が期待されている。だが、五輪本番まで残り500日を切った中、森保監督はほとんど五輪世代を現場で指揮できていない。最優先はあくまでA代表であることは間違いないが、同じ戦術がオプションに加わることで五輪世代から抜てきもしやすくなる。反対に五輪代表にオーバーエージを採用する際もフィットにかかる時間は減るだろう。A代表で3バックを試すことが、世代間の連係をよりスムーズに行うきっかけにもつながる。

A代表は6月に南米選手権(ブラジル)を控える。前哨戦となる今回の国際親善試合は、新たな選択肢を試す格好の機会だ。26日のボリビア戦がベストタイミングだろう。森保監督は常々「融合」という言葉を口にし、さまざまな選手を積極的に起用してきた。今度は3バックという指揮官の哲学とチームの融合を見たい。【岡崎悠利】