MF中島翔哉(25=ポルト)が日本の22年W杯カタール大会アジア予選第1号のゴールを決めた。

前半16分、持ち場の左サイドで右足を振り抜き、相手GKの頭上を越えるミドルシュートを突き刺した。中島はこれで森保ジャパン4得点目。日本は幸先よく白星発進でW杯への道のりをスタートさせた。

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中島の右足が、カタールW杯への第1号を生み出した。0-0の前半16分。左サイドでボールを受けると中央へ切り込み、右足でミドルを狙った。美しい放物線を描いたボールは、腕を伸ばした相手GKの指先を越えてゴールへ。「先制点が大事だと思っていたのでシュートを意識して練習してきた。あの位置から打つと自然と入るので得意な形かもしれない」。仲間とハイタッチして抱き合い、1点の重みを分かち合った。

キックオフ約6時間前から降り出した雨で、ピッチは田んぼ状態だった。滑って転ぶ選手もいる中、中島は正確な技術で美しいゴールを決めた。前日には「雨なら雨の楽しみ方、できるプレーもある」と話していた10番。幼少期から“泥んこピッチ”が一番の遊び場だった。母親が「テレビゲーム買ってあげようか?」と聞いても「そんな暇があるなら公園に行く」の一点張りだった。サッカーを始めた時の自宅マンションから見下ろせる公園も、J1・FC東京のスクールに入って引っ越した先で見つけた公園も、ドロドロの土。そこで愛犬と泥んこになりながら練習に励んだ。今回のピッチと比較しても「公園の方が、良い悪いで言ったら悪いグラウンド」。泥んこピッチはアウェーではなく童心に帰れるホームだった。

初招集のW杯予選でいきなり結果を残した。「ものすごく大事な大会の予選だけど、1試合1試合を大切に楽しんで全力でプレーできれば」と平常心で臨み、輝いた。日本がW杯予選のアウェー初戦で勝利したのは、加茂監督が率いた97年のフランス大会予選以来22年ぶり。熱狂するミャンマーサポーターを黙らせた。

実はミャンマーキラーでもあった。15年3月、翌年のリオ五輪を目指したU-22代表の親善試合で同ミャンマー代表と対戦し、1試合4得点と爆発。お得意様相手に再びゴール。世界へとつながる大舞台で決めてみせた。今回は「ミャンマーがすごく頑張ってきて2点しか取れなかったことは事実だけど」としながらも「これも実力と認めて、自分たちの今のレベルを受け入れて成長していきたい」。頼もしい新10番が日本をW杯へ導く。【杉山理紗】

▼日本のW杯予選第1号ゴール 22年カタール大会はMF中島が初戦の前半16分にマーク。前回の18年ロシア大会はFW本田が記録したが、初戦のシンガポール戦に0-0で引き分け、2戦目のカンボジア戦の前半28分に決めた。14年ブラジル大会はDF吉田が初戦の後半ロスタイムに記録。今回のように初戦の前半20分までに第1号ゴールは98年フランス大会でDF小村が前半10分に決めて以来。