キャプテンマークを巻いたDF板倉滉(24=フローニンゲン)が2得点で勝利に貢献した。

3日前のセンターバックではなく、ボランチ先発。CKから頭で2得点。「2点取れることある? って思いました。前の試合負けて、このままじゃ終われない。ゴールが結果につながって良かった」と振り返った。

19年1月に川崎フロンターレからオランダのフローニンゲンへ。加入から半年はベンチを温める日々。言葉の問題に加え、マンチェスター・シティーからの期限付き移籍という立場もあり“お客様扱い”を感じた。このままでは終われない。チームメートと積極的にコミュニケーションを取り、食事や映画観賞に出かけた。映画にはもちろん日本語の字幕などなく、何も分からずにポップコーンを食べているだけ。それでも、積極的に交流を深めた。

練習でもなめられないよう、容赦なく体ごと当たりにいった。「練習でガツガツやっているのを見てちょっとずつ、認めてもらえてもらえるようになってきた」。19-20年シーズンには22試合に出場し、今季ここまで全27試合に先発出場。完全に信頼される存在になった。

海外で鍛えた激しい寄せで相手の攻撃の芽をつみ、川崎Fの下部組織で一緒だったMF田中碧とのコンビで中盤を支配。「僕自身、東京五輪は金メダル以外考えていない」とキッパリ。「こういう相手に勝っていかないと、という気持ちが出た。勝って終われたところも良かった」。五輪本番へ、確かな手ごたえを口にした。【岩田千代巳】

◆板倉滉(いたくら・こう)1997年(平9)1月27日、横浜市生まれ。小学4年で川崎Fの下部組織に加入し、15年にトップ昇格。18年は仙台へ期限付き移籍し24試合3得点。19年からマンチェスター・シティーに完全移籍し、加入と同時にフローニンゲンに期限付き移籍した。オランダ1部通算49試合1得点。国際Aマッチ通算4試合0得点。186センチ、75キロ。