【ドーハ(カタール)2日=磯綾乃】悲劇を歓喜に塗り替える。22年W杯カタール大会の組み合わせ抽選会が1日(日本時間2日)にドーハで行われ、7大会連続出場の日本はスペイン、ドイツ、コスタリカとニュージーランドの勝者とともにE組に入った。強豪ぞろいの「死の組」にも、森保一監督(53)は「日本の経験値としては素晴らしい対戦相手」と歓迎。現役時代に経験した「ドーハの悲劇」を「ドーハの歓喜に変えたい」と宣言した。

【W杯組み合わせ】一目でわかる全8組の組み合わせ表

「JAPAN」と読み上げられた瞬間の表情とは別人のように、ミックスゾーンの森保監督は笑っていた。

「全てが死の組だと思いますし、W杯優勝の経験がある国と戦えることを今ワクワクしてます。日本の経験値としては素晴らしい対戦相手だと思います」

近代的なドーハの景色に、金色のシャワー。色鮮やかなセレモニーが終わると、すぐに運命の瞬間がやってきた。元カタール代表のマララ氏の手は、スペインとドイツが待つE組へと日本を導いた。

W杯優勝経験のある2カ国を倒し、歓喜の記憶に塗り替える-。これ以上ない筋書きができあがった。「アメリカW杯の最終予選で悲しい思いをしました」。試合終了間際の失点でW杯への道が絶たれた「ドーハの悲劇」。指揮官として、その記憶は封印していた。

それでもこの地に降り立ち、倒すべき相手が決まれば、自然と闘志は湧き上がる。

「今度は監督としてこのドーハで、我々が目標とすることを達成して、『ドーハの歓喜』に変えたいと思っています」

簡単な物語ではないからこそ、やりがいがある。

「相手のことをリスペクトしすぎず、同じ目線で戦えるように。我々が簡単に負けることは、対戦する前から、これっぽっちも考えてません」

ドーハ市内の抽選会場から、悲劇の舞台となったアル・アリ球場までは約15キロ。暑い夜の華やかなセレモニーから、歓喜へのドラマが始まる。