右に「伊東」。左にも「伊藤」がいる。日本代表に初招集されたDF伊藤洋輝(23=シュツットガルト)が、確かな爪痕を残した。左SBとして先発出場。効果的な縦パス、精度の高いクロスを上げるなど、左利きのとして長所を存分に発揮した。

試合は完敗だったが、W杯メンバーへ向けて、確かなアピールに成功した。

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完敗の中、数少ない光明の1つだった。左SBの伊藤の左足が、幾度もチャンスを演出した。前半6分には、ペナルティーエリア左へ南野にスルーパス。確かな精度で、観客のどよめきを誘った。同9分にも、その左足から攻撃を展開した。6分のシーンと同じように、ペナルティーエリア左へ南野に鋭い縦パス。いずれも、得点にはつながらなかったが、組織的な守備を敷いたチュニジアの守備陣の虚を突いた。後半2分には、敵陣深くからファーサイドの伊東へ鋭いクロス。合わせられなかったが、得点の雰囲気を漂わせる質の高いキックだった。

その左足に加え、CB、SBをこなすマルチさを引っさげ、日の丸を背負う。2日の国際親善試合・パラグアイ戦で代表デビュー。前半は左SB、後半はCBとしてフル出場した。10日のキリン杯・ガーナ戦でもフル出場。左SBとして、安定感を見せた。完全移籍を果たしたシュツットガルトでは、当初は練習生からのスタート。そこから日本代表の座まで上り詰めた。「プロ1、2年目は相当苦しんだので、うまくいっている訳ではない。ただ、結果的にこのタイミングでここまで来られた」とかみしめる。「日本がW杯で結果を残すことが一番臨んでいること」と謙虚な目標を口にしつつも「その一員になれれば、うれしいし、力になるために、精いっぱいやりたい」。傍観者になるつもりはない。

日本には「右のイトウ」がいる。右ウイングには「イナズマ純也」こと伊東が、圧倒的なスピードを武器に、攻撃陣に不可欠な存在として君臨する。「左のイトウ」も出場する度にその名を知らしめている。左SBには、長友、中山らライバルが名を連ねるが、伊藤はCBも出来る幅がある。W杯本番まで約5カ月。その大舞台を前に、最後とも言えるテストの場で、伊藤洋輝の名は、さらに大きくなった。【栗田尚樹】

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