【デュッセルドルフ(ドイツ)24日=岡崎悠利】サッカーの日本代表が“W杯仕様”の戦術に手応えをつかんだ。日本(FIFAランク24位)は23日の米国(同14位)との国際親善試合キリンチャレンジ杯に2-0で快勝。W杯アジア最終予選で機能不全だった4-2-3-1をリニューアルさせることに成功した。27日のエクアドル戦は、本大会での強敵を想定した改善点をあぶり出すこともテーマになる。

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この活動のキーワードだった「共通認識」。それが見えた米国戦だった。1トップのFW前田を筆頭にしたチーム全体のプレスで米国をライン際へ追いやる。そして相手が苦しくなって中へつなごうとした時に、ボールを奪う。前半25分のMF鎌田の先制点は、MF伊東が敵陣で横パスをかっさらったのが起点。MF三笘が「狙いは分かる人には分かると思う」と振り返るほど、はっきりとした連動があった。

陣形はアジア最終予選の序盤まで採用していた4-2-3-1。ベースだった4-3-3から押し込まれる展開が想定されるW杯本番を見越して戻した。ただ中身は「だいぶ違う」と久保は明かす。「(かつてのように)一から十までつなぐ感覚ではない」。久保ら2列目のサイドは高い位置を保ち、ゴールに近いところで奪って攻めきる。ボールを持って支配することにこだわらず、的確なプレスから手早くゴールに向かう-。戦い方は変わった。

手応えをつかんだ一方、チームは冷静だった。狙いどおりの試合運びで、課題らしい課題は出なかったが慢心はない。「(W杯の初戦でぶつかる)ドイツは完成度も高いと思う。決まった共通認識だけでは戦えない。土台があった上で、コミュニケーションを積極的に取っていきたい」と久保は続けた。日本のプレスに米国はパスミスを続けた。ただドイツならそうはいかない。吉田主将は「もっと間を突かれるかな、動かされるかなとイメージしながらやった」。本大会での戦いも頭に入れてプレーしていた。

試合は後半43分、MF三笘が勝利を決定づける追加点を奪った。3月からの国際Aマッチ8戦5発と存在感を見せた。森保監督は「やろうとしていることを意思統一しながら、うまくいかないこともピッチ内で修正を加えながら戦えた」と収穫を口にした。自主性を重んじる指揮官は戦術で縛ることに消極的だったが「練習もミーティングも以前とは変わった」と鎌田。6月の代表活動で露呈した戦い方の意思統一という課題はクリアできつつある。大舞台へ一歩前進したことは間違いない。