開催国枠で3年ぶり出場の広島が、開幕戦を制して準々決勝に進んだ。オセアニア代表のオークランド(ニュージーランド)に快勝。Jリーグ・チャンピオンシップ(CS)から先発6人を入れ替えFW佐藤らを温存。元日本代表FW皆川佑介(24)の得点などで逃げ切った。13日の準々決勝はアフリカ代表のマゼンベ(コンゴ)と対戦。3年前に5位に終わったJ1王者が貫禄のスタートを切った。

 霧雨が舞い、肌寒い会場が一気にヒートアップした。前半9分、広島がJ王者の貫禄を見せた。U-22(22歳以下)代表のMF野津田が放ったシュートをGKがファンブルし、こぼれ球をFW皆川が蹴り込んだ。3年ぶり日本開催となった大会の開幕を告げる初ゴールは普段は控え組の2人が演出した。後半25分にはDF塩谷が角度のない位置から2点目。勝負を決めた。

 アギーレ体制の昨年に代表入りした経緯のある皆川は、11月28日に第1子となる長女が誕生。少ない出場機会でも先発すれば公式戦3戦3発。「CSの時にみんなが揺りかごパフォーマンスをしてくれた。自分でも決められてうれしい。寿人さんの姿を見て、まねたゴールです」。2点目の塩谷も「ゴールはゴール。結果として残る」と喜んだ。

 “秘策”で臨んだ初陣だ。中2日で迎える13日の準々決勝マゼンベ戦を見据え、CSから先発6人を変更。エース佐藤らを温存した。準々決勝を突破すれば、初の世界4強。その先には、メッシ擁する欧州王者バルセロナとの夢対決も見えてくる。全4試合を戦い抜くため采配は明確だった。

 「森保イズム」が浸透した。先発が固まってきたリーグ戦中のこと。アウェーの遠征メンバーに入れず広島に残った選手のために、森保監督はテレビ付きの個室がある焼き肉店を自腹で予約した。肉を食べながら、チームの試合を見ろという配慮。メンバー外でも誰1人として腐ることがなかったからこそ、抜てきされた選手らが活躍した。

 初出場の3年前は準々決勝でアフリカ代表のアルアハリ(エジプト)に敗れて5位に終わった。先制点をお膳立てした野津田に加えて柴崎、清水も負傷交代し、同監督は「(3人とも)次は出られないと思う」と説明。故障者続出でも、この選手層があれば問題ない。世界へ、広島の強さを見せつける。【益子浩一】

 ◆クラブW杯 国際サッカー連盟(FIFA)主催のクラブ世界一決定戦。今年で12回目。欧州、南米などの6大陸王者と開催国リーグ覇者の7チームがトーナメントで争う。16年も日本開催。広島とオークランドは3年前も同じ開幕戦、会場で対戦し広島が1-0で勝利。