新潟は2-1でINAC神戸に逆転勝ちした。勝ち点18に伸ばし、順位は5位のまま。1-1の後半38分に、入団2年目のMF八坂芽依(19)の公式戦初得点で勝ち越した。リーグ戦は中断期間に入り、新潟の再開後の初戦は第12節仙台戦(9月11日、宮城・石巻市総合運動公園石巻フットボール場)。公式戦の次戦は、なでしこリーグカップ第1節(6月4日・十日町市当間多目的グラウンド)で岡山湯郷と対戦する。

 転倒しながらも、MF八坂は笑顔だった。

 後半38分、MF上尾野辺めぐみ(30)の縦パスに合わせ、タイミングよくゴール前に飛び出す。「めぐさんからパスが出るのは予想していた」。右からINAC神戸DF三宅史織(20)がスライディングで止めにくるが、一瞬早く右足でシュートを放った。

 三宅ともつれ、ピッチに転げ落ちる前にボールがネットに刺さる瞬間を確認。自然と表情が緩んだ。「早くみんなと喜び合いたかった」。立ち上がりながら、さわやかな笑顔と左手の力強いガッツポーズ。入団2年目、リーグ戦通算11試合目の出場での初ゴールは、強敵を倒す貴重な1点になった。

 後半29分、負傷したFW大石沙弥香(31)に代わって出場した。辛島啓珠監督(けいじゅ=44)の指示は、元なでしこジャパン、DF近賀ゆかり(32)MF川澄奈穂美(30)に対する守備。八坂はそこに集中しながら「同点だったので、得点すれば勝てる。私の持ち味は攻撃」と、チャンスをうかがっていた。

 ルーキーだった昨季は、周囲に合わせてボールを追う場面が多かった。2年目の今季は「得点を意識している」。全体練習後の自主トレでは、パスを受けてからすぐにシュートを放つパターンに徹底して取り組んだ。決勝点も、ボールを持つて迷わずに打ったもの。「練習していた形が出せた」と成果を実感した。

 前半24分に先制されたが、後半に勝負強さを発揮しての逆転勝ち。「守備が甘く、ハーフタイムに怒ったんです。『やることをやっているのか』と。後半は立て直してくれました」。辛島監督は選手たちの成長を感じた。新潟は5月の5試合は4勝1引き分けと無敗。ホーム戦は3連勝だ。「これからも力をつけて試合に臨みたい」。八坂が言うように、チーム全体が上昇ムードに浸って5月を終えた。【斎藤慎一郎】