ブンデスリーガのフランクフルトに移籍するサガン鳥栖MF鎌田大地(20)は浦和レッズ戦で先制点をアシストし、2-1の勝利に導いた。本拠地で移籍前の最終戦を終え、仲間から胴上げされた。

 MF鎌田が鳥栖での最後の試合で勝利に導いた。0-0の後半20分。右CKのキッカーで、FW小野の今季2得点目となる先制のヘディング弾を演出。歓喜の輪の中で、小野の頭をなでて喜びを分かちあった。試合終了の瞬間は両手を突き上げ、こん身のガッツポーズ。難敵の浦和相手に、日本代表MF長谷部が在籍するフランクフルトも認めた力で最後まで体を張った。

 試合後、ピッチであいさつに立ち「サッカー人生で一番いい雰囲気、内容でできた。記憶に残る試合だった」「鳥栖を離れますが世界で活躍し、世界で活躍することで鳥栖の名前も世界に知らせたい」とサポーターに別れを告げた。「ありがとう!」「また帰って来いよ!」などと別れを惜しむ声の中、セレモニーでは観戦した両親や5月に結婚した安莉紗夫人(21)から花束を受け取り、移籍へ決意を新たにした。

 スタンドでは背番号7のボードが掲げられ、プレーのたびに大きな歓声が起こる中、鎌田は決定的なパスを出し、相手の隙を突いてボールを奪うなどゴールに迫った。攻守ともに見せ場をつくり、フィッカデンティ監督は「最高のゲームをしてくれた」とたたえた。

 「あの人がいないと今はない。クソガキの僕を面倒見てくれ、感謝しています」。15年の入団1年目は森下監督(現J2群馬監督)に鍛えられた。16年からは「練習はしんどかった」と、フィッカデンティ監督の下で司令塔として能力が開花した。

 2年半在籍し、鳥栖生え抜きの選手としては初の海外移籍。「このクラブが与えてくれたものは大きい。このチームがないと今の僕はない。しっかり海外で活躍し、日本代表に入り欧州CLで優勝できたら」。大きな夢を抱いて、ドイツに渡る。【菊川光一】

 ◆鎌田大地(かまだ・だいち)1996年(平8)8月5日、愛媛県伊予市生まれ。地元のキッズFCから中1でG大阪ジュニアユースに入団。ユース昇格は果たせず、京都・東山高に進学した。高3時には高円宮プレミアリーグ西地区で10得点。5クラブ争奪戦の末、15年に鳥栖入りした。J1通算65試合13得点。180センチ、72キロ。