鹿島アントラーズの本拠カシマスタジアムが、20年東京五輪に向けた改革の第1歩を踏み出した。先月の日本協会理事会でサッカー競技の追加開催地に承認され、来月の国際オリンピック委員会(IOC)理事会で正式決定する見込み。IOCは「たばこのない五輪」を推進しており、茨城県、鹿島、JTの3者で協議を重ねて、今季開幕から「完全分煙」を実現している。

 昨年2月、茨城県議会で、公共施設の喫煙環境について議論されたことも発端となった。昨季までは屋外コンコース内に数十カ所、灰皿が設置され、ハーフタイム時などは煙が立ち込めることもあった。家族連れから「子どもが多く訪れる場所として改善してほしい」の声も届いた。県事業推進課担当者も「吸う方、吸わない方それぞれを尊重する上で、場所や規模を考えた」として、ゲートを出ることなく移動できる、隔離された5カ所に喫煙所を新設した。

 Jリーグの本拠としては12年に日産スタジアムで競技場内完全禁煙に移行してから、全国で急速に分煙が進んでいる。JTによると現在の成人日本人男性喫煙率は29・7%。ピークだった66年の83・7%からは激減したが、約3分の1は喫煙者だ。国会でも受動喫煙防止対策などを盛り込んだ健康増進法の改正が進められている。マナーを守る日本人の特性を生かした「分煙」も、日本流のスポーツ観戦の楽しみ方かもしれない。