日本代表を倒すべく「中沢2世」が立ちはだかる。オーストラリア代表で主力を務める横浜F・マリノスDFミロシュ・デゲネク(23)が29日、アジア王者として臨んだコンフェデレーションズ杯を終えてチームに合流した。日本にとって、8月31日のオーストラリア戦はW杯ロシア大会出場がかかる一戦。師と慕う元日本代表DF中沢と横浜でセンターバックを組んで成長したJリーガーが、舞台となる日本で情報収集しつつ、万全の準備で臨む構えだ。

 午前6時30分着の飛行機で再来日したデゲネクは、日本人のような勤勉さで、同10時から横浜市内で行われた練習に参加。ランニングなど軽めの別メニュー調整とはいえ「飛行機の中で寝てきたから問題ない。ダイジョーブ」と、タフネスぶりを披露。湿度の高い日本の気候も慣れた様子だ。

 コンフェデレーションズ杯は、2分け1敗で1次リーグ敗退だった。デゲネクはそのうち2試合と、直前の親善試合ブラジル戦、W杯アジア最終予選サウジアラビア戦の計4試合にフル出場。3バックの一角として、オーストラリアの守備を支えた。「相手もよかったので、いい経験になったし楽しかった。ブラジルと対戦という夢もかなった」と、横浜を離れた3週間余りで成長を実感していた。

 昨年の代表初招集から、今や主力にまで成長できたのは、中沢のおかげだと感じている。デゲネクは「ボンバー(中沢)は頭がいいし、ボールを落ち着かせるところやパスを出すタイミング、間合いの詰め方と、彼の近くでプレーしたことで多くを学んだ。僕の中ではアイドル。特別な選手だ」と、尊敬の念を隠さない。横浜以前はドイツの2部や3部でプレー。中沢は「ドイツで細かく言われてこなかったと思う。アプローチとかカバリングとか。特にマリノスはセンターバックがカギを握るチームだから」と話す。今季もJ1最少失点を誇る伝統の守備を、同じ187センチで空中戦と対人に強い、プレースタイルも似ている師匠から教え込まれてきた。

 デゲネクは「日本は本田や香川、岡崎、長友ら経験豊富な選手も多いが、もちろん勝つために戦う。Jリーグ以外の選手も多いが、僕が教えられることはチームメートに伝える」と、情報収集役も買って出る構えだ。日本を熟知し、日本式の守備を身に付けたデゲネクの存在感が、徐々に増してきている。【高田文太】