セレッソ大阪が逆転で3-1とFC東京を下し、12年ぶりの首位に立った。負傷で長期離脱が判明したMF清武の代役、MF水沼宏太(27)が同点と決勝ゴールをアシスト。決勝点は水沼-DF松田陸(25)の「前東京」コンビで決めた。リーグ戦9戦負けなし(6勝3分け)のホームで、最終節でV逸となった05年以来の首位に立った。鹿島は柏を3-2で下し4連勝で3位。柏は11試合ぶりの敗戦で2位に後退した。

 C大阪は後半45分だけで勝負をつけた。尹晶煥監督は「サッカーは90分だが、45分だけしっかりやった気分だ」と言った。東京に先制を許し、決定機を外しまくった前半。ハーフタイムに指揮官は「みんな集中力が切れている。集中すること!」と言葉のビンタをかました。その効果は絶大だった。

 呼応したのが水沼だ。負傷離脱の清武に代わり右サイドを担う。「前半は消えていた」と尹監督。しかし、後半は存在感を見せつけた。12分にFW杉本の頭に合わせる鮮やかな右クロスで同点弾を演出。さらに18分、DF松田の攻め上がりに絶妙パスを供給、決勝点を奪った。「前東京コンビ」で古巣を撃破。「陸は負けん気が強いんで。『絶対勝とう』って言ってました。その2人で点が取れたのはよかった」と笑みを浮かべた。

 水沼にとって、いろんな思いが詰まった一戦だった。清武の“代役”という言葉を嫌った。「キヨはキヨのいいところがある。自分は自分らしくやっていきたい」。その思いが前半は空回りも、後半は修正した。そして古巣への思い。「(昨年は)自分にとって一番苦しい1年だった」。リーグ戦わずか17試合の出場。他にも「まあいろいろ、ね」と詳細は明かさなかったが、もがいた1年。移籍したC大阪で「成長させてもらった感謝、そして悔しさをぶつけたい」と意気込んでいた。その思いも、鮮やかな逆転劇につながった。

 J1復帰1年目、ついに首位に立った。「当初、目標にしていた残留の勝ち点35にいったね」と玉田社長。当然、目標は上方修正される。尹監督は「まだまだ戦いは続く。この1週間だけ喜びを感じて過ごします」。次戦8日は、9戦負けなしのホームで柏レイソル戦。まだ道半ばでも1歩ずつ、悲願初Vへ前進していく。【実藤健一】