浦和レッズがドイツ1部の強豪ドルトムントに2-3で惜敗した。FW興梠慎三(30)が前半24分に先制点を奪い、リーグ戦で不調が続いていた守備陣も粘り強い守りを見せた。後半の3失点で競り負けたが、リーグ8位からの巻き返しへ攻守に収穫を得た。ドルトムントの日本代表MF香川真司(28)は左肩負傷の影響で出場しなかった。

 浦和は挑戦者だった。ドルトムントはシーズン開幕前の調整段階かつ、来日一夜明けのこの日午前にはイベントをこなした。その相手にフルメンバーで臨んだが、ボール保持、連続攻撃でお株を奪われた。「あれだけ押し込まれるのは想定外」とはDF遠藤。前半は急きょ5バックで応戦した。右CKからFW興梠の先制弾や遠藤の同点ヘッドもあったが、後半一気の3ゴールに屈した。

 ただ、2-3のスコアには収穫、刺激が詰まった。遠藤は昨季リーグ得点王のFWオバメヤンらに仕事をさせず、「切り替えの速さ、球際の強さを肌で感じられた。ボールを奪う回数も出せた」と手応えもあった。後半31分にFWモルにドリブルでかわされ、失点したDF槙野は「要所の強さ、うまさがあった」。香川と自分を比較し「まだまだ甘いと思う。いかにJリーグで同じ質と意識を保てるか」と気持ちを新たにした。

 この一戦でチームの闘争心に火がついた。Jリーグでは長く追われる立場。常勝のプレッシャーが敵になっていた。この日「失うものはない」と臨んだ槙野は「Jリーグでは浦和がボールを持つ。(今日の浦和の感情が)相手に起きる。いかにメンタルが必要か」と実感を込めた。リーグ戦は8位で中断期を迎えた。再浮上に欠かせない感覚を思い出させてくれた。

 槙野は本調子のドルトムントと世界舞台での再戦を望んだ。「ACLを勝ってクラブW杯に出ないと。少しでも厳しいステージでやることが大事。(本田が加入する)パチューカともやりたいしね」。再び強さを見せるきっかけをつかんだ。【岡崎悠利】