J1首位のセレッソ大阪が、悲願初Vへ教訓を突きつけられた。スペイン1部の強豪セビリアに1-3で完敗した。今季公式戦負けなしのホームで完全に試合を支配され、途中出場のMF福満(ふくみつ)隆貴(25)のゴールで1点を返すのがやっと。尹晶煥監督(44)に「楽しくなかった」と言わせた敗戦も、悲願の初タイトルへの糧にする。中4日で臨む22日浦和レッズ戦(ヤンマー)からJ1再開となる。

 世界のレベルを見せつけられた。J1で首位を走るC大阪がボールを保持してもすぐに奪われ、展開される。放ったシュートはC大阪の6本に対し21本。GKキム・ジンヒョンが好セーブで何度も救った。今年1月までセビリアに在籍したMF清武が左脚故障で欠場したとはいえ完敗。守備のミスもあり、尹晶煥監督は「勝負の世界は勝つことが一番楽しい。私はそんなに楽しくなかった」とバッサリだった。

 今季の公式戦11勝3分け(リーグ7勝3分け、ルヴァン杯3勝、天皇杯1勝)と圧倒的な強さを誇ってきたホームで、初めて苦杯をなめた。指揮官は「大勢見に来てくれたのにガッカリさせてしまって申し訳ない。浦和戦ではいい姿を見せたい」と奮起を誓った。

 守護神は「こっちが準備する前にやられる。スペインらしいサッカー。リーグ戦に向けて参考になった。いい経験になった」。唯一のゴールを挙げた福満も「個々の能力が高く、守る時間が多かった。この経験をリーグに生かしていきたい」と力を込めた。

 05年は最終節、ほぼ手中にしていた優勝を終了間際の同点被弾という悲劇的な形で逃した。ここ一番での勝負弱さもあるチームにとって、いい教訓になった。主将のFW柿谷は「しっかり守りきることは続けていかないといけない。今の順位を最後まで」とJ1制覇を誓う。世界レベルを思い知った黒星から、悲願Vへの戦いが再開する。【実藤健一】

 ◆セビリアFC 1890年創立。スペイン・アンダルシア地方セビリアが本拠地。昨季はリーグ4位。リーグ優勝1回、欧州リーグは15-16年シーズンまで3連覇。今季から昨季の欧州リーグでセルタを4強に導いたベリッソ監督が指揮を執る。本拠地はサンチェス・ピスフアン(4万5500人収容)。