ヴィッセル神戸に新加入した元ドイツ代表FWルーカス・ポドルスキ(32)が、華麗なるデビューを飾った。来日初実戦となったアウェー・ベガルタ仙台戦に先発。前半34分にFW渡辺への絶妙なスルーパスで得点をお膳立てするなど、W杯3度出場の実力を発揮した。代名詞の左足シュートも披露した世界的英雄は前半だけで交代。29日のホーム大宮戦でJ1デビューを迎える。試合は2-2で90分間を終え、神戸がPK戦を制した。

 格の違いを見せるには前半だけで十分だった。2トップの一角で先発したポドルスキは前半34分、センターライン付近から右を駆け上がるFW渡辺を見ると、左足でピタリと合わせるキラーパスを出した。受けた渡辺はしっかりゴール。左足を柔らかく使う技ありのゴール演出だった。

 「今日の2点目のパスは大事だが、仲間と連係を作ったり、次の試合(大宮戦)に向けてやる方が大事だった。いい準備ができた」

 豪快さも見せた。開始わずか17秒で左クロスを受け、強烈な左足シュートを放った。バーの上だったが代名詞のシュートに会場は大興奮。愛称ポルディは「いいシュートだったら入っていた。すごいシュートじゃないが、挑戦しようと思っていた」。前半14分はDFのはね返りを受け、細かなステップで翻弄(ほんろう)。技ありシュートを放った。シュート数は出場した前半の2本だけだったが、衝撃デビューを飾った。

 6日にドイツから来日して約2週間。湿度の高い日本の夏に慣れるため、オフは1日しか取らずに調整を続けた。まだ状態は「100%じゃない」が約45分間、世界レベルのプレーで圧倒。この日が67歳の誕生日だったネルシーニョ監督も「まだ最高の状態じゃないが、チームにとって大きなプラス」と手応えを得た。

 W杯3大会出場の世界的スターでありながらも順応しようとする真面目な性格だ。自ら積極的に周囲に話しかけ、簡単な英語で若手をイジる元ドイツ代表の背番号10は「周りに自分の経験を伝える。意思疎通を図ることが求められている」と役割を理解している。

 J1デビューが待ち遠しくなった。リーグ再開となる29日ホーム大宮戦が「一番大事」という。J1の舞台での得点量産に期待が高まる。9位にとどまる神戸にとって最高の起爆剤となりそうだ。【小杉舞】

 ◆ルーカス・ポドルスキ 1985年6月4日、ポーランド生まれで2歳でドイツ移住。Bミュンヘン、アーセナルなどを経てトルコ1部ガラタサライに。神戸とは推定年俸6億円プラス出来高で19年までの2年半契約で来日。ドイツ代表としてW杯3度出場で計5得点。182センチ、83キロ。