亡きチームメートに、大陸間のタイトルはささげられなかった。ブラジル1部シャペコエンセは浦和レッズ戦に敗れた。2016年11月、今大会の出場権も懸かっていた南米杯の決勝の地、コロンビアに向かう途中で航空機事故に遭った。選手、監督、クラブ関係者44人が犠牲になり、サッカー界に激震が走った事故から約8カ月半。クラブとして戦う姿勢を貫いた90分だった。

 シャペコエンセの大会にかける思いがにじんだ。0-0のままPK戦にもつれ込みそうだった後半43分。微妙な判定で与えたPKが決勝ゴールとなった。選手たちはPKを蹴る前から試合終了の笛が鳴っても、審判団へしつこく抗議を続けた。後半は敵陣に押し込む時間も増え、奮闘しただけに、無念さが募った。

 今大会は昨季のチームが残してくれた「遺産」だった。主将のDFグロリ(27)は「亡くなった人たちのためにも、タイトルを取りたかった…」と言葉を詰まらせた。南米杯の決勝で対戦する予定だったナシオナル・メデジン(コロンビア)から優勝を譲られて得た出場権だった。試合後、浦和サポーターがポルトガル語で「クラブW杯で再会しよう」と書いた緑色の紙を掲げたことについて、グロリは「このようなメッセージを出してくれてうれしく思う。愛情とおもてなしを感じた」と感謝した。

 試合前には、Jリーグと各クラブから義援金1068万5919円が送られ、エウトロピオ監督(51)は「歓迎とおもてなしに感謝します」と何度も述べた。「日本は再建することについて世界のお手本の国。自分たちも同じようにチームを再建している過程にある。日本がなぜ災害から再建できるのか、物事を計画を立てて進められるからだと分かった」と尊敬の意を表した。【戸田月菜】