ツエーゲン金沢の柳下正明監督(57)は、町田ゼルビア戦のドロー決着に「我々にとって、勝ち点1は悪くない」と振り返った。

 前節までの順位は、降格圏21位のレノファ山口と勝ち点10差の18位だった。前半5分にFW佐藤洸一(30)のゴールで先制。その状況で、先に試合が始まっていた山口が、3位のV・ファーレン長崎に1-2で逆転負けした。

 勝ち点3を手にすれば、残留に向けて大きく前進できた中、勝ち点1にとどまったことを評価した理由について、柳下監督は次のように語った。

 柳下監督 前に、どんどん出てくる、フリーランニングしてくる町田に、下(雨が降ってピッチの状態)が悪い中(ドローという結果は)悪くない。

 一方で、チームの課題を口にするのも忘れなかった。「守備では最後まで体は投げ出したけれど、セカンドボールは拾われている。攻撃も簡単に失う場面が増えている。保持して攻撃を仕掛けないと。ボール際の厳しさをトレーニングしていかないといけない」

 後半23分から途中出場したMF杉浦恭平(28)は、柳下監督の意図を汲み、左サイドでボールをキープすると、前線に何度も仕掛けて起点となった。「監督はハーフタイムで、そのこと(課題)は言っていたし、終盤の最後の方は危なかったけれど、後半は(局面の)最後のところでスライディングにいけたり、球際は良かったと思う」と振り返った。

 杉浦は今季、34試合に出場している。途中出場は7試合と中心として活躍してきたが、ここ4戦は故障もあり、ベンチスタートが続いている。それでも「途中からでもチームのためになれるように、という感じです。監督のサッカーは面白い。めちゃめちゃ練習はきついですけど、このサッカーをやっていれば体力がつくし、もっと良くなると思っています」と前向きだ。

 順位は前節と変わらず18位で、山口との勝ち点差は1、広がるにとどまった。ただ、わずかな前進であっても、金沢は柳下監督を筆頭に、チーム一丸となって残留に1歩、1歩前進する。【村上幸将】