FC東京ユース所属の高校1年生MF久保建英(16)と2年生MF平川怜(17)が1日、トップチームとプロ契約を締結し、都内で会見した。クラブ史上最年少の16歳プロになった久保は「一生に1度」という地元開催の20年東京五輪への飛び級出場へ、まずは今年中のJ1リーグ戦デビューを目指す。試合は18日のアウェー、サガン鳥栖戦(ベアスタ)から残り3節。背番号は久保が41、平川が40に決まった。

 

 クラブ史上最年少の16歳4カ月28日でプロ契約を結んだ久保は、37社52人の報道陣を前に「幼いころからの夢だった」と第一声を発した。しかし、すぐに「大切なのはスタートではなくゴール」と強調。色紙に「努力」と書き込み「今日からずっと終わることのないものは何か考えた時、努力だった。昨日の自分より良い自分へ。努力しなくなった時点で選手としての成長は止まる」と満足はない。

 五輪、W杯とも出場した香川(C大阪)森本(東京V)ら以来の16歳プロ。当面の目標は東京五輪と明言した。「一生に1度のチャンスだし、出場できれば、この上ない喜び」と地元開催を歓迎。「本当に大きな努力になると思うけど、うぬぼれず、自分を信じてやっていく」と言った。同五輪の森保監督は先月30日の就任会見で「年齢は関係ない」と飛び級招集も示唆。期待に応えるため、プロとして「今はフィジカル差、体格差がありますが、相手の懐に入っていくドリブルだったり、自分の長所を伸ばしたい」と武器を磨く。

 出場した先月のU-17W杯インド大会は、優勝したイングランドにPK戦の末敗れた。大会MVPに輝いた同国MFフォデンは、17歳にしてマンチェスターCに所属。「強い国の主軸の多くがプロで危機感を感じた」とアマチュアからの脱却への思いが強くなった。より練習時間を確保するため、高校も通信制に切り替える方向。「正直かなり悩んで出した答えなんですけど、何度も代表で学校を休んで先生や生徒に助けてもらった。難しい選択だったけど、自分はサッカー選手として生きていきたい」と環境を変える決断もした。

 「W杯も夢の舞台」と話す中、まずは今年の残り3節でJ1リーグ戦デビューを狙う。既にJ3などでA契約(初年度の年俸460万~670万円)に必要な出場時間をクリアしており「今後は年齢が無制限。今のレベルに甘んじず、自分のイメージより、さらに上を目指したい」とプロの誓いを立てた。【木下淳】

 ◆久保建英(くぼ・たけふさ)2001年(平13)6月4日、川崎市生まれ。2歳でサッカーを始め、11年9月に川崎FのU-10からバルセロナの下部組織カンテラへ。中学2年の15年5月に東京U-15むさし加入。3年で東京ユースに飛び級昇格、日本クラブユース選手権で史上初の中学生得点王。世代別代表は、バルセロナ在籍中の15年にU-15インドネシア遠征で初招集。昨年11月のJ3長野戦でJリーグ最年少出場、今年4月のC大阪U-23戦で最年少得点。家族は両親と妹、弟。利き足は右。170センチ、63キロ。血液型A。