J2降格危機にある大宮アルディージャの新指揮官に就任した石井正忠新監督(50)が男泣きで残り3戦全勝を誓った。石井監督は7日、クラブの森正志社長(55)と西脇徹也強化本部長(40)とともにさいたま市内で就任会見に出席。常勝軍団の鹿島での指導歴はコーチ時代も含め18年に及び「勝負に対する執着心を伝えていきたい」と抱負を語った。

 監督として15年7月から17年5月まで鹿島アントラーズを指揮し、国内3大タイトルをすべて獲得。クラブW杯2位と世界に名を刻んだ。大宮の前身のNTT関東でプレーした経験があるとはいえ、降格圏の17位に低迷するクラブを新天地に選ぶのは火中の栗を拾う選択にみえる。その理由を「クラブが厳しい状況だからこそオファーをくれたという(クラブの)強い意思を受けたので…応えないわけにはいかない」。答えの途中で目頭が熱くなり言葉に詰まった。「厳しい仕事ですが、私の経験を短期間でもクラブに残すことができればという思いもあった」とおとこ気を口にした。

 大きな目標はJ1残留。15位甲府との勝ち点差は4で、3戦全勝が最低条件となる。石井監督は「1対1の勝負に負けないなどの守備の部分をやって、前の能力のある選手を生かして勝ちきりたい」。常勝鹿島のメンタリティーを注入する。【岩田千代巳】