ベガルタ仙台が大宮アルディージャを3-0で下し、11位に浮上した。

 前半にDF増嶋竜也(32)がDF蜂須賀孝治(27)の左サイドからの低弾道のクロスを頭で合わせ、移籍後初となる貴重な先制ゴールをたたき込んだ。玲子夫人(34)と長男ら家族が観戦に訪れる中、無失点でしのぎ切るなど、ベテランが攻守で貢献。残り2戦、目標の1ケタ9位へ向け、3連勝でリーグ戦を締めくくる。

 意図せぬ増嶋のゴールが、攻撃陣に火を付けた。前半26分、左サイドからのクロスをニアサイドで腰を落としてとらえたボールは、前線に上がっていたDF大岩、平岡の目の前をすり抜け、そのままゴール右隅に吸い込まれた。「あの低さのクロスだったので前に流してゴールに直結すればと思っていた。前線の選手が動いてディフェンスを引きつけてくれたおかげ。みんなで取ったゴールです」。祝福に駆け寄ったMF野津田からラリアットで倒され、ピッチ上にでんぐり返し。集まったイレブンから、お尻をたたかれる手荒い祝福を受けた。

 このゴールを口火に攻撃が活性化。10分後には、FW石原がMF古林のマイナスのクロスに反応。オウンゴールとなったが貴重な追加点を奪った。後半にもMF三田が左足でスーパーミドルをたたき込むなど、18本のシュートを浴びせる波状攻撃で圧倒した。

 「DF陣が点を取ると前の選手も楽になるかなと。失点0が目標だったので」と増嶋。スペースに進入する相手を徹底マーク。後半に許したシュートはわずかに3本とJ1残留をかけ必死の大宮攻撃陣を抑え込んだ。渡辺監督は「マスのゴールはよく入れたなと思うが、相手にスペースを使わせなかった守備面のパフォーマンスが素晴らしかった」とたたえた。

 スタンドには、玲子夫人と長男、長女に加え弟夫婦の子供2人も応援に駆けつけていた。入場行進ではその長男を胸に抱えピッチに入るなどモチベーションは最高潮。「いつも以上力が入りました。毎試合、家族が見に来てくれているので点を取れたことはよかった。できればもう少し早く決めたかったですが…」。試合後は家族に祝福され、優しい笑顔を見せていた。【下田雄一】