ジェフユナイテッド千葉は2009年(平21)以来、9年ぶりのJ1復帰をかけて4度目のJ1昇格プレーオフに挑んだが、名古屋の“神の手弾”に屈した。

 前半ロスタイムにFWラリベイ(33)のゴールで先制。勝たなければ決勝進出はない状況で、待望の先制点を挙げたが、後半16分、DF近藤直也主将(34)のクリアが名古屋MF田口泰士(26)の手に当たった。明らかにハンドだったが主審は流し、同点弾を決められた。選手は猛抗議したが実らず、そこからリズムを崩し、後半だけで4失点を喫し、沈んだ。

 ファン・エスナイデル監督(44)は試合後の会見で「同点に追いつかれてしまったゴールが試合の分岐点となった」とだけ言い、審判を批判するようなことは一切、言わなかった。その代わりに「1番、難しい先制点を取ることは出来た。ただゲームの後、全てを支配することは出来なかった。試合の分析の前に選手の努力、見せてくれた取り組みに感謝したい。今回の結果は、来年につながるもの」と選手を繰り返し、たたえた。

 就任した今季は、徹底したチーム改革を断行した。DFラインを上げ、前線からプレスをかける“ハイプレス・ハイライン”の戦術はもちろん、選手の生活にもメスを入れた。午前8時とお昼は選手全員で食事を取るようにした。食材も、主食は白米ではなく玄米を、脂肪の多い肉や魚は避け、味つけは塩こしょう中心で、ドレッシングもノンオイルのものなどにするよう指導。アウェー戦の際は、宿泊先のホテルにまでメニューを徹底させた。選手が夏場以降、体の切れを増して終盤戦でも体力が落ちず、走り続けられるようになったことが、最終節までの怒濤(どとう)の7連勝からの、大逆転のプレーオフ進出につながった。

 エスナイデル監督は「(PO)2戦目が出来ない…負けて悲しいというのはあるけれど、今年はポジティブ…別な結果を目指したが、ポジティブ。本当に来年につながる」と強調。「クラブの中で改革した。順応するのは簡単ではなかったが、1年間通して苦労した完成度が出てきた。今年は良かった。選手には、ありがとうと言った。サポーターにも感謝したい。来年、今年より一層、いいチームにしないと、という気持ちにさせられた」と選手、サポーターに感謝した。

 来季の続投が決まっており、質疑応答で、今年をベースに来年はどうしたい? と質問が出た。エスナイデル監督は「今、やっていることを、さらに良くする。フィジカルもメンタルも、もっと良くする。メインのメンタルの部分を、必ず強くして戻ってくる。今季の最後のところが、来年に必ずつながる」と継続した強化と、その先の捲土(けんど)重来を誓った。【村上幸将】