元オーストラリア代表監督のアンジェ・ポステコグルー氏(52)が来季監督に就任すると発表したJ1横浜F・マリノスの古川宏一郎社長と、クラブの強化・編成を担当するスポーティングダイレクター(SD)のアイザック・ドル氏が19日、横浜市内のクラブ事務所で取材に応じた。

 もともと横浜は新監督に求める条件として、優勝を経験していること、さらなる若手の育成に期待ができることなどを挙げていた。古川社長は、ポステコグルー氏が条件に合っていたと説明し「初めて話した時に『クラブとして優勝を目指していますか』と問われたことをすごく覚えている。勝利に対する情熱を持っている人。私自身が彼と一緒に働きたいと思って決めました」と話した。

 ポステコグルー氏は09~12年に指揮を執ったオーストラリアのブリスベン・ロアーFCでAリーグチャンピオンシップを2度制し、Aリーグ最優秀監督賞などを受賞。13年にオーストラリア代表監督に就任し、14年W杯ブラジル大会を指揮し、15年にはアジアカップも制覇。同国を来年のロシアW杯の予選突破へと導いたのちに辞任を発表していた。

 古川社長はポステコグルー氏と直接面会したことも明かし「代表監督としての生活から、選手といつも一緒に練習して強化していくサイクルに戻りたいという話もあった。優勝を目指す強いモチベーションを感じた」。資本提携するシティ・フットボール・グループ(CFG)の協力も得ながら人選を進め、この日の発表に至った。アイザック氏も「(ポステコグルー氏の)意識は高いです。チャンピオンになりたい。100%のクラブを狙いましょうということ」と力説した。

 選手らにも、この日の午前練習前に新監督就任について説明。チームにはオーストラリア代表DFミロシュ・デゲネクが所属しており、ポステコグルー氏もクラブの動向などを普段からチェックしていたという。古川社長は「うちのチームだけでなく、Jリーグの選手についても知っている。詳しいなと思いました。アジアカップもとっているので、そういった経験はプラスになると思っています」と自信をにじませた。

 来季のチーム作りについて、クラブは現監督のモンバエルツ氏の築いてきたものを壊さず、さらに発展させるようなサッカーを目指すとしてきた。しかし、オーストラリア代表監督時のポステコグルー氏は3バックを採用しており、4バックで戦う現在の横浜のシステムとは異なる。この点についてアイザック氏は「ずっと3バックでやっているわけじゃない。相手に合わせてやっている。(ポステコグルー氏は)フレキシビリティーがあるし、ゲーム中にもシステムが変わることがある。楽観しています」と問題視していないことを強調した。

 今後はポステコグルー氏の意見も取り入れながら来季の編成を考えていくという。アイザック氏は「監督の意見はナンバーワン。これから大きな動きをする。補強のイメージはある。うまくいくように頑張ります」と意気込んだ。

 横浜が最後にリーグ戦を制したのは04年。経験豊富な新監督とともに、名門復活を狙う。