<半端ない青春~高校サッカー・クローズアップ>

 大会の応援リーダーを務めるケルンFW大迫勇也は鹿児島城西時代の08年度大会で1大会最多記録となる10得点を挙げ、準優勝に導いた。準々決勝では大迫の2得点を含む6得点で滝川二(兵庫)に圧勝。相手主将が「大迫、半端ないって」と号泣する場面がテレビで放送され、超高校級プレーがクローズアップされた。今大会、そんな「半端ではない」話題をお届けします。

 佐賀東に敗れた関東第一のGK北村海チデイ(きたむら・かい・ちでい、2年)は、跳躍力が半端ではない。2月の体力テストの立ち5段跳びでは、部と契約するトレーナーから「他の部員は大体13メートル台」と言われる中、唯一16メートルを記録。同トレーナーのデータによると、サッカー部では全国1位の大ジャンプだった。

 175センチとGKとしては小柄だが、サッカー経験のあるナイジェリア人の父ルークさんと、体操経験のある母めぐみさんから受け継いだ身体能力を武器に、1年からチームを支えてきた。2失点目となった佐賀東DF都渡のミドルシュートにも「ジャンプしてボールに触れていたので、最初の立ち位置が良かったら止められていた」と悔やんだ。

 全国制覇へ、あと1回チャンスがある。試合終了の笛が鳴っても涙はみせず「まだ先が目標だったので、1回戦で負けて泣けない。来年絶対に借りを返します」。父が名付けてくれた「チデイ」には神様の意味もある。再び選手権へと導くため、神セーブに磨きをかける。【松尾幸之介】