初陣の日本文理(新潟)が、連続完封勝利でベスト16入りした。全国高校総体8強の旭川実(北海道)に2-0で快勝。前半14分、MF古木雄大(3年)の右クロスをMF久住玲以(れい、3年)がダイレクトで合わせて先制。同28分には、GK相沢ピーターコアミ(2年)のロングフィードを前線のFW亀山来駆(らいく、3年)がトラップし、左足で追加点を決めた。新潟県勢の2勝は12年度の帝京長岡以来5大会ぶりで、初出場校のマルチ勝利は初。今日3日の3回戦では作陽(岡山)と対戦し、新潟工以来33大会ぶりとなる県勢の1大会3勝に挑む。

 GK相沢のロングフィードの軌道を予測しながら、FW亀山は前線でトップスピードで駆け上がった。「絶対、どこかに当たる」。勘だけを信じてボールから視線を外して走り、絶妙な「背中トラップ」。こぼれたボールを拾って、相手DF高橋大翔(3年)を絶妙な切り返しでかわした。利き足とは逆の左足シュートが、ゴールネットを揺らした。「コースは甘かったけれど、入って良かった」。ゴールへの意欲がボールの勢いを呼び込んだ。

 亀山は夏までスーパーサブだった。「先発を外れていたのは悔しかった」と誰よりも自主練習を積んで、スタメンの座をもぎ取った。普段の練習終了後も居残ってシュート練習を繰り返した。「だから右でも左でも蹴ることができる。それが武器」。ウエートトレーニングも、同じ坂井輪中出身のMF島田雄大(3年)と競い合いながらやった。自宅は学校から自転車で10分と近いだけに、自主トレは午後9時まで費やすこともあった。夏以降は先発に定着し、初参戦したプリンスリーグ北信越(4位)ではチーム最多の9得点だった。

 初出場で2勝は県勢初の快挙。80分間、最後まで持続する豊富な運動量で、大会の台風の目になりつつある。1000メートルをほぼ全力の3分30秒で10本走るなど、過酷なメニューを繰り返したのが生きた。大橋彰コーチ(40)が「お前らは参加48校の中で一番弱い。だから一番練習しなければならない」と、選手たちの尻をたたいてきたことがピッチに結実した。守備も2試合連続の無失点と安定。亀山は「後ろ(DF)は絶対、ゼロに抑えると信じているから、前が決めなくてはいけない」と8強入りを懸けた3回戦も、ゴールを奪取する構えだ。【涌井幹雄】

 ▼県勢の1大会マルチ勝利 首都圏開催となった78年度以降では、84年度の新潟工3勝(8強)、07年度の北越2勝(3回戦)、12年度の帝京長岡2勝(8強)を含めて4回目。最近8大会に限れば初戦敗退は2回だけで、通算8勝7敗と勝ち越す。