米子北(鳥取=8年連続13回目)が一条(奈良=2年連続8回目)に快勝し、同校初、県勢では25大会ぶりとなるベスト8進出を決めた。

 前半を0-0で折り返すと、後半開始早々の3分に先制。MF坂田二千翔(3年)が、味方シュートのはね返りをゴール正面から右足でダイレクトシュート。GKの指先をかすめてゴールネットに入れ、均衡を破った。

 そのまま手堅く試合を進め、相手が前掛かりになった終盤にカウンターから追加点。途中出場のMF高橋諒(2年)が後半36分、FW奥石龍世(3年)が同40分に決めて突き放した。

 昨年、高円宮杯U-18プリンスリーグ中国で2連覇し、今季はプレミアリーグ西地区に初挑戦。優勝した神戸ユースに2-1で勝つなど健闘し、最高峰リーグに7位で残留してみせた力を選手権で発揮した。

 8大会連続、通算13回目の挑戦でようやく壁を破った中村真吾監督(44)は「プレミアでは、ずっと負け続けても最後は試合ができるくらいにまで成長しようと思ってきた。身長も低いし、技術もなくて『強くない』と言い続けきたチームだけど、我慢強さ、まじめさはあった。選手権の強豪と比べれば見劣りするし、どこよりも弱そうに見えるけれど、粘り強く戦い続けて1つになれた。自転車操業の毎日でしたけど、毎日毎日やることをやり続けた先に結果がある」と教え子をたたえた。

 00年に就任して米子北の礎を築き、15年度まで監督として指揮を執った城市徳之総監督(50)も「はじめは選手権に出られるかも分からない代だった。このチームが、よく(初の)ベスト8まできたなと思う」と表情を崩しながら「まじめさは群を抜いていた。止める、蹴る、ができなかった子たちだけど、素直で謙虚で戦術を理解する力はあった。こういうチームだからこそ、ここまで来られたのかもしれない」と不思議な感覚を素直に受け止めた。

 次は、県勢初のベスト4進出がかかる準々決勝。5日の駒沢第2試合で、優勝候補の前橋育英(群馬)と対戦する。