12年ぶり2度目出場の上田西(長野)が帝京大可児(岐阜)を5-0で破り、長野県勢としては41大会ぶりのベスト8進出を決めた。

 この日、都内は最大瞬間風速20メートル以上の強風が吹き荒れ、駒沢陸上競技場も、風下のGKが蹴るパントキックが風に押し戻されるような状況だった。その中で、風上の上田西は前半の12分でロングスローを武器とするFW田嶌遼介(3年)を投入。風がなくても30メートル以上を投げる田嶌は、強風を利用してタッチラインから次々とゴール前へスローイングを投げチャンスを演出した。白尾秀人監督(37)は「彼はジョーカー的な存在で、試合展開を見て後半の頭から投入しようと思ってましたが、前半の早い段階で入れることを決断しました」と、説明した。

 これで優位に立った上田西は前半40分にMF丸山圭太(3年)が40メートルのFKを直接決めて先制。後半は風下となったが、FW根本凌(3年)と途中出場のFW田中悟(2年)が2得点ずつ挙げ、5得点で大勝した。

 白尾監督は「選手たちには、『勝てば、歴史も変わるし、環境も変わる』と言ってきました」と、長野県勢としての快挙に満面の笑み。初戦の京都橘に1-0で勝った時は思わず涙を見せたが、この日は落ち着いた表情で試合を振り返っていた。

 また、流れを変えたロングスローの持ち主、田嶌は「本当は得点したかったんですが、アシストもしましたし、チームが勝ったので良かったです」と、控えめに喜んでいた。