前橋育英(群馬=4年連続21回目)が、試合終了間際の劇的ゴールで富山第一(3年連続28回目)に競り勝った。

 0-0で迎えた後半ロスタイム3分、ゴール前に攻め込んだMF塩沢隼人(3年)がシュート。DFに当たり、はね返った球が左サイドで待っていたFW飯島陸(3年)の足元へ転がる。これを冷静に右足で決めて土壇場で決勝点を奪った。

 2日の初戦・初芝橋本(和歌山)戦で4得点した飯島は、2戦連発となる今大会5点目。「外に開いて受けようと思ったんですが、シオ(塩沢)が打つなと思ったので、こぼれ球狙いに切り替えた」。大量4ゴールの後の試合だったが「重圧とかはなく、自信になりました」と勢いを維持した。

 このままPK戦に突入していれば、勝利はどちらに転ぶか分からなかった。その中で「PK戦も準備していたけど、こういう試合で点を決めるのがエース。俺が決めてやると思っていた」と、強い気持ちでタイムアップ前に大仕事をした。

 勝利が決まった瞬間、腰の前で何度も両拳を握った山田耕介監督は「富山第一さんは今大会3試合目で、うちは2試合目。この差は大きい」と相手をねぎらいつつ「こういった我慢比べでは、とにかく失点しないことが大事。リスタート(からの失点を防ぐの)は技術じゃない。集中、位置取り。そこは強く言い続けた」と強調。攻撃力が売りの富山第一をシュート1本に抑え込み、準優勝した前回大会から全員が残っている4バック中心の守備陣を高く評価した。

 5日の準々決勝では米子北(鳥取)と対戦する。山田監督は「走るし、ガッツもあるし、疲れを知らないチーム」と警戒。初優勝へ次も気の抜けない戦いが続く。