サッカー熱が高いとはいえなかった秋田県で、新たなサッカースタジアムの建設機運が急上昇している。サッカーJ3ブラウブリッツ秋田が17年シーズンに優勝しながらも、スタジアム要件を満たせずJ2に昇格できない異例の事態を招いたためだ。

 約50年前に創設した企業チームを前身とする秋田は、17年12月3日のシーズン最終節で鳥取に3-0で快勝、3位からの逆転で初優勝した。J3参加から4季目の快挙。しかしJ2ライセンスを持っておらず、今季もJ3で戦う。ライセンス制度導入以降、優勝チームが昇格できないのは初めてだ。J2ライセンス取得には、1万人以上収容のスタジアムがあるといった要件を満たす必要がある。本拠地の「あきぎんスタジアム」(秋田市)の収容人数は約5000人しかない。

 家族で応援している秋田市の30代主婦は「早くスタジアムを造っていればJ2に上がれたのに残念。J3連覇を願うしかない」と悔しがる。クラブによると、18シーズンで2位までに食い込み昇格を果たすには、新スタジアムの整備計画をまとめ、18年6月までにJ2ライセンスの取得申請をする必要がある。

 整備計画は、秋田県が中心となってまとめる見通しだ。初優勝を受け、佐竹敬久知事は「全面支援し、ブラウブリッツ(秋田)の頑張りに報いたい」と意気込む。現在は、スポーツ関係者や、秋田市など関係自治体で構成する県の委員会が整備方針を検討している。これまでに既存施設の改修ではなく、スタジアムを新設することを確認。2月県議会で中間報告を行う。

 秋田は地域に浸透しつつある。人口約99万人の秋田県で、スタジアム整備を求める約18万人の署名が集まった。地元経済界は屋根付きの複合型施設を提言し、建設費約110億円、経済効果を約170億円と試算する。

 ファンが集まる秋田市のバー店主平潟秀俊さん(44)は「夢のような複合施設もいいが、時間がないので身の丈に合ったものでいい」と要望。本拠地近くにあり、クラブを応援する通町商店街の佐藤政則理事長(59)は「改修でも新設でもいいので早くしてほしい。新シーズンも応援企画を考えたい」と話し、悲願のJ2昇格を期待した。