前橋育英(群馬)先発唯一の2年生FW榎本樹が優勝弾を決めた。後半ロスタイムに右足で決めると迷わずスタンドへ。「迷惑かけた3年生のために。うれし泣きは人生で初めて」と喜んだ。

 昨夏の全国総体前に寝坊して1週間、練習参加を許されず草むしりやトイレ掃除を科された。それでもメンバー入りし「外れた先輩から『何でお前が』と」。責任感で総体得点王になり、選手権も決勝ゴール。「出られなかった3年生と山田監督を日本一にすることができた」と涙で恩を返した。

 ◆後半ロスタイム1-0決勝点 選手権の決勝でスコア1-0決着は、戦後12度目(戦前は2度)だが、0-0で迎えた後半ロスタイムにゴールを決めての優勝は、今回の前橋育英FW榎本が初。過去の主な選手は、69年度の浦和南FW永井良和(後半15分)、83年度の帝京FW前田治(前半21分)、88年度の清水商FW山田隆裕(後半18分)、90年度の国見FW中口雅史(延長後半2分)、02年度の市船橋MF小川佳純(後半20分)。直近は09年度の山梨学院大付MF碓井鉄平(前半11分)。