J2アルビレックス新潟が12日、本格始動した。チーム初練習を新潟市のハードオフ新潟室内練習場で行った。MF加藤大(26)が今季からエースナンバーの背番号10を付ける。新潟の日本人選手の「10番」は14年のMF田中亜土夢(30=C大阪)以来。加藤は全42試合フル出場、10得点10アシストを個人目標に掲げ、1年でのJ1復帰を目標にするチームの中心になることを誓っている。

 リラックスした表情の奥に決意を秘める。チーム練習初日、MF加藤はフィジカル中心の1時間ほどのメニューを淡々とこなした。「オフの間はランニングなどで体を動かしてきた」。175センチ、70キロのシーズン中と変わらない細身の体形は、コンディションの良さを表す。

 何より気持ちが充実している。「10番を付ける覚悟を持って臨む」。J1復帰が絶対目標の今季、自身にとっては新たなステップに進む1年だ。「10番」は昨年末に強化スタッフとの話し合いの中で提案された。「チームから言われ、『自分も付けたいです。付けさせてください』と返事をしました」。10年の入団以来、通算5季背負った「13番」に愛着があったが、もともと背番号そのものにこだわりはない。「10番を提案される立場を自覚しなければ」と自分を奮い立たせた。

 12、13年とJ2愛媛に期限付き移籍した経験がある。J2の厳しさは知っている。「愛媛にいたときより、上位と下位の差がなくなっていると思う。難しい試合が増える」。エースナンバーを受け取った意識の底には、厳しい戦いに向けてチームをけん引する自覚がある。

 昨季はJ1で自己最多の33試合に出場した。ボランチとして持ち味の運動量と足もとの技術を発揮。「あってはいけないミスが起きたときのカバリングを覚えられた」と手ごたえをつかんだ。鈴木政一監督(63)も「キャンプからは、まずボランチでやってもらう」と言う。同時に「守備的なイメージがある」と、暗に攻撃面でのプラスアルファを求めた。

 加藤もそこは自覚している。もともと攻撃的MFもできる。攻撃は得意だ。「状況に応じて、攻撃に加わる」と、新監督の期待に応える心の準備はできている。今季の目標は「10得点、10アシスト。特にアシストは増やしたい」ときっぱり。何よりも「全42試合フル出場にこだわる。ワンプレーを大切にしていく」。エースがピッチに存在し続けることが、J1復帰の原動力になる。【斎藤慎一郎】