JFAアカデミー福島出身の清水エスパルスFW金子翔太(22)が、東日本大震災の被災地へ元気を届ける。

 9日、清水三保グラウンドで今日10日のアウェー北海道コンサドーレ札幌戦に向け、約1時間半の練習を行い、敵地入りした。金子は全体練習が始まる前からGK六反勇治(30)と笑顔でパス交換し、リラックスした雰囲気で調整した。

 しかし被災地への思いを聞かれると、表情が引き締まった。シーズン前に試合日程をチェックし、3月10日に試合があることを確認したという。「個人的に、特別な感情を持っている。10日の試合でスタメンで出て、11日の新聞やニュースになれるように活躍したいと思っている」。札幌は、16年シーズンのJ2時代から公式戦5連敗中と相性が悪い相手。しかし、今季の清水は公式戦3戦負けなしと好調で「この勢いのまま、いける。チームとしてハードワークをすることが大事」と強気に話した。

 震災時まで、サッカー施設Jヴィレッジ(福島県楢葉町、広野町)を拠点に練習していた。現在も復興活動が進められており、昨年4月アウェー川崎F戦で挙げたJ1通算2万ゴールの記念グッズ売上金の一部を、同県「Jヴィレッジ復興プロジェクト」に寄付。現地のメディアにも取り上げられ、地元の関係者からは「ありがとう」と連絡が届いた。震災から7年を迎え、今年7月には施設の一部が再開する予定で、金子は「微力ですけど、これからも行動していきたい。再開したら、訪れてサッカー教室をやりたい」。第2の故郷への思いを胸に、ピッチに立つ。【保坂恭子】