4万3579人の豊田スタジアム史上最多の大観衆に、背中を押された。横浜F・マリノスから移籍後、3試合目で初ゴールを含む2得点を挙げた名古屋グランパスDF金井貢史は「すごい味方だった。一緒になって戦ってくれた。勝たなきゃいけない雰囲気を出してくれた。同点になってからも、背中を押してくれた部分がある。本当すごい心強い味方だなと思いました」と感謝した。

 同点とされた直後の後半6分、ボールが右サイドを回ると、左サイドバックの金井が逆サイドを駆け上がった。「チーム全員、ボールを取られない自信があるからこそ、あそこに入っていける」。ペナルティーエリア内でパスを足元で受けたとき、縦に行く考えは捨てた。止まった。

 「相手が勢いを持って戻ってきたので、逆にわざと止めた。パッと止めたときに、全体が間接視野で見えた。GKもちょっと前に出ていたのが分かったので、上を越せればいいなと。思った以上にうまくいきました。蹴った瞬間、自分でもびっくりしました」。

 鹿島GK曽ケ端準の頭上を越えるカーブシュートがゴールに吸い込まれた。

 ただ、後半25分に鹿島DF西大伍を倒してPKを与えてしまったのも金井だった。そして、再び同点ゴールを許してしまった。「あそこは引っかかっていないといったら、引っかかっていないですけど、PKを取られたことはしょうがない。そこは、レフェリーと戦わないでできた」

 ただ、責任を感じていたからこそ、三たび勝ち越しとなる自身2ゴール目が後半36分に生まれた。前田直輝のシュートのこぼれ球を胸トラップで落ち着いて処理して、豪快に蹴り込んだ。そこに詰めていた。

 「あんまり覚えていないですけど(MF前田)直輝のことだから打つと思ったし、あいつならファーに打つなと。どこにこぼれてきてもいいようにしていた。(MFガブリエル)シャビ(エル)も相手を引きつけてくれたので、落ち着いて蹴り込むだけだった」

 4万3000人を超える大観衆に加えて、前半34分に先制したFWジョーの3戦連発弾はホーム通算700得点目と、記録的な1日だった。

 まだ最下位は脱出できていない。だが、今季初のリーグ3連勝は、名古屋の未来に明るい光を差し込んでいる。「目の前の1試合に命を懸けるつもりで必死になって戦っていけば、今日みたいな結果になる。しっかりと1戦1戦を戦って、勝ちを積み上げられればいい」。金井の表情は、自信に満ちていた。