日本勢で唯一、勝ち残る鹿島アントラーズが天津権健(中国)を3-0で下し、2戦合計5-0(第1戦2-0)でクラブ史上初の4強入りを果たした。前半13分にFWセルジーニョ(23)が頭で先制すると、同27分にMF安部裕葵(19)、後半21分にはFW土居聖真(26)が追加点を奪い、台風などの影響を全く感じさせずに快勝した。準決勝は10月3日にホーム、同24日にアウェーで水原-全北(ともに韓国)の勝者と対戦する。

まるで「マカオ」が祝福していた。前半13分にセルジーニョが右CKを頭で合わせた。アウェーで貴重な先制弾。その瞬間、偶然にも近隣の5つ星カジノホテルのイルミネーションが点滅した。かつてのポルトガル領がポルトガル語のブラジル人FWを“歓迎”。同27分はDF内田がえぐり、安部が追加点を挙げた。アドバンテージに頼ることなく、前半で勝負をつけた。

カジノホテルと高層マンションに囲まれたマカオの会場。本来の天津では同時期に国際会議があり、警備に不備があるとして変わった。完全アウェーでない代わりに、台風22号の猛威に遭った。出発を1日早めて2ルートに分かれ、大半は中国・広州から約3時間のバス移動を強いられた。外出禁止令が出された16日は、宿舎のジムやプールを使い、リカバリー組は一般客の中で汗を流した。前日は芝生を回復させるために、試合会場が使えなかった。

そんな悪環境も内田は「国際試合では良くあること。慣れっこ」。キックオフ直前には相手が従来の4バックではなく3バックだと見抜き、全員で声を掛け合った。先制につながるCKと2点目はいずれも内田が、スペースのあるサイドを突いた形。「相手に応じたプレーの選択を若い選手もできている」とMF三竿健。選手はたくましかった。

クラブ初の4強。「昔のレベルと比べたらオレらはめちゃくちゃ高いわけではない。オレとか(小笠原)満男さんやソガさんとか昔からやっている人がいて、(監督の大岩)剛さんや(コーチの)羽田さんらの思いがある」。若手の成長とベテラン勢の思い。その強さが、今の鹿島にある。