J1リーグの残留争いが、かつてないほど混沌(こんとん)としている。

試合前から同じ勝ち点で並び、暫定ながら“降格圏”に足を踏み入れた柏レイソルとサガン鳥栖の一戦は、ともにシュート13本を打ち合って“痛み分け”に終わった。

両チームは勝ち点1を分け合ってガンバ大阪と並び、勝ち点30になった。ただ、柏と鳥栖は得失差で何とかガンバ大阪を上回り、自動降格圏は免れている。

勝ち点30。これは2016年に、15位でギリギリ降格を免れたアルビレックス新潟の勝ち点と同じ。しかし、今年はこの数字では降格を免れることはできない。

J1が18チームになった05年以降の15位と、16位の勝ち点を見てみる。

◆05年 15位清水エスパルス(39)16位柏レイソル(35)

◆06年 15位ヴァンフォーレ甲府(42)16位アビスパ福岡(27)

◆07年 15位大宮アルディージャ(35)16位サンフレッチェ広島(32)

◆08年 15位ジェフユナイテッド千葉(38)16位ジュビロ磐田(37)

◆09年 15位モンテディオ山形(39)16位柏レイソル(34)

◆10年 15位ヴィッセル神戸(38)16位FC東京(36)

◆11年 15位浦和レッズ(36)16位ヴァンフォーレ甲府(33)

◆12年 15位アルビレックス新潟(40)16位ヴィッセル神戸(39)

◆13年 15位ヴァンフォーレ甲府(37)16位湘南ベルマーレ(25)

◆14年 15位清水エスパルス(36)16位大宮アルディージャ(35)

◆15年 15位アルビレックス新潟(34)16位松本山雅FC(28)

◆16年 15位アルビレックス新潟(30)16位名古屋グランパス(30)

◆17年 15位サンフレッチェ広島(33)16位ヴァンフォーレ甲府(32)

残留にもっとも勝ち点を要したのは2012年の新潟で「40」だった。今季、残る試合はおおむね7試合。現在は最下位のV・ファーレン長崎ですら今節で仙台に勝ち、勝ち点27に積み上げている。勝ち点7差の中に、9チームもひしめき合う。降格ラインは一体どこまで上がるのか。

「勝ち点3」以上の意味を持った一戦でライバルを蹴落とせなかった柏と鳥栖だが、浮上できなかった半面、そのほかのチームを簡単に上回る可能性も秘めている。

鳥栖のフィッカデンティ監督は「私は5年間、ずっとJリーグの監督をやっていますが、今年は初めて、ちょっと変なリーグになっています。みんな強いし、毎試合、本当に難しい。多分全てのチームが最後まで戦い、すごくいいリーグになっていく」と話した。

最終節では数多くのチームが分刻みで、天国と地獄の浮き沈みを味わうかもしれない。