アルビレックス新潟が今季初の3連勝を決めた。水戸ホーリーホックに1-0で競り勝ち、勝ち点39で順位を18位から17位に上げた。後半35分、途中出場のFW矢野貴章(34)が決勝点。自身の今季5得点目で、8試合ぶりの1点が3連勝を呼び込んだ。前節金沢戦に続いて、交代して入った選手が結果を出した。

ポーカーフェースの矢野が笑った。駆け寄るチームメートを招き寄せるように歓喜の輪の中心にたたずむと、自然と表情が緩んだ。

後半35分、MF高木善朗(25)のシュートのこぼれ球を、中央で拾い右足で押し込む。「善朗のシュートの後を狙っていた。中央でフリーだったので、落ち着いて打てた」。冷静に決めた今季5得点目がチームに3連勝をもたらした。

後半16分、FW河田篤秀(25)に代わって出場。前線からプレスをかけて相手を追い込み、味方のパスを受けて起点をつくった。守備では相手のセットプレーをゴール前ではじき返す。「自分が出るまで失点ゼロできたことが、得点につながった」。水戸に7度のコーナーキックを与えるなど、押され気味な展開。それでも懸命に守っていたチームメートの頑張りを、無駄にはできなかった。

片渕浩一郎監督(43)は「私から役割を与えているわけではない。試合を見て、状況を理解してプレーしてくれている」と途中からピッチに入った矢野の奮闘をたたえた。前節金沢戦は、新潟U-18所属の特別指定選手、本間至恩(18)が後半途中出場で決勝点。今度はベテランが途中出場で結果を出した。「途中から出た選手が活躍するのは大切。1人1人が役割を理解してやっている」。矢野も片渕監督と同じように話す。それだけチーム全体の意思は統一されている。

押し込まれながらも体を張って守り、残り10分で泥くさく1点を奪う。J1で07年6位、09年8位、10年9位だった当時のような新潟の勝ち試合の内容。それを知っている矢野が体現した。「ホームのような雰囲気で応援してくれた」。矢野は2700人が駆けつけ、一体感を共有したサポーターに感謝した。【斎藤慎一郎】