思わぬ大差がついた。こうした試合では、守備に何らかの隙が生まれるもの。だが、鹿島アントラーズのDF陣が集中力を切らすことはなかった。

ヴィッセル神戸のFWウェリントンをDF町田浩樹が抑え、中盤に下がることもあったFWポドルスキには、DF犬飼智也がうまく対処した。許したシュートはわずか5本。試合を経るごとに頼もしさが増す犬飼は「ボランチとうまくコミュニケーション取りながらできていた。受け渡しやポジションをうまく90分通してやれていた」と胸を張った。

120分間も戦った天皇杯から中2日。だが、その広島戦でフル出場し、神戸戦も先発した犬飼とMFレオ・シルバの2人は疲れを感じさせなかった。レオ・シルバに至っては前半30分、味方のカウンター攻撃に反応。「優磨が1対1になった状況で、それをかわしたらチャンスになるなと思っていたら、しっかりかわしてスピードアップしたので、これはいけるなと。グラウンダーで来たので合わせやすかった。あとは決めるだけでした」。機を見て懸命にゴール前まで走り、先制点を挙げた。

その2人が音を上げないのだから、ほかの選手が疲れを見せるわけにはいかない。相乗効果で、敵地で完勝した。

これで公式戦6連勝で、4試合連続の完封勝利。マイナスのときもあった得失差も「プラス8」に伸び、一時は15位にまで沈んだ順位も暫定3位に浮上した。

上り調子で、ホームで10月3日に行われる水原(韓国)とのアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)準決勝第1戦に臨める。レオ・シルバは警告累積で出場停止だが、犬飼は「今のメンバーは、誰が出てもチームのために戦う選手ばかり。出ていない選手を含めて、全員で戦えている。それが今の鹿島の強さだと思います」と誇った。