清水エスパルスの強力2トップが、静岡ダービーを席巻した。ジュビロ磐田に5-1で完勝。FWドウグラス(30)とFW北川航也(22)がそろって2得点した。FW村田和哉(30)もスーパーゴールを決め、昨季公式戦3戦全敗を喫した宿敵から、ダービー史上最多タイの得点で派手にリベンジした。反撃が1点止まりだった磐田は、5戦連続勝ちなし(2分け3敗)で暫定15位に沈んだ。

完勝だった。磐田から5得点を奪った清水の選手たちは、誇らしげだった。ホームでの勝利後に行う「勝ちロコ」には、ヤン・ヨンソン監督(58)が初めて参加。最高の笑顔が連なり、アイスタがさらに熱くなった。

試合開始1時間前の午後2時、静岡市清水区で記録した気温34度は、この日の全国1位だった。うだる暑さの中でのキックオフ50秒。ドウグラスが、ピッチ中央でボールを奪った瞬間、北川も動きだした。「来る」と信じたスルーパスを受けると、左足でゴール右隅に流し込んだ。「GKに触られたけれど、念を込めた」。昨季はホームで磐田に0-3。試合後、悔し涙を流した22歳の強い思いが、先制点をもたらした。

プロ4年目の北川は初の3戦連発で、2桁得点に到達した。後半27分にもチーム4点目を決めたが、「今日はドウグラスですよ」と言った。確かにそのプレーは異次元だった。同38分、北川のパスを受けて反転。ゴール前中央でDF3人に囲まれながら、左足で追加点。1点差で迎えた後半16分には、ペナルティーエリア内で強引に突破し、右足で追加点を奪った。「今日はホームで勝てたことが一番良かった」。普段と変わらず謙虚だが、7月の加入後からチームは変わった。

北川は言う。「いつもドグの近くにいるようにしている」。前線に起点ができたことで、MF金子翔太(23)やMF石毛秀樹(24)ら中盤選手も前向きでボールを受ける機会が増えた。指揮官が理想とする最短でゴールを目指す速攻にさらに磨きがかかった。ドウグラス自身もフィットしている。「清水はうまい選手が多い。街もすごく気に入っている」。先月13日には、ブラジルから家族が来日。8歳の長女も静岡市内の小学校に通うなど、清水での生活に溶け込んでいる。

加入後は11戦9得点。「清水史上最強助っ人」の声も出始め、チームの勝ち点は「40」に到達した。残り5試合でJ1残留をほぼ手中に収め、次戦はホームに2位広島を迎える。北川は「おごらずに次も全力を尽くしたい」。ドウグラスは「勝って喜びを分かち合いたい」と言った。ダービーでの勝利を追い風に、さらに上を目指す。【神谷亮磨】