柏レイソルFW瀬川祐輔(24)が、またゴールを決めた。

開始57秒だった。中盤の中川が右サイドへ大きく展開し、抜け出したMF江坂任が中央に低く送ったパスを、ゴール前ファーサイドで受けた瀬川がワントラップし、冷静で右足で決めた。

瀬川は9月以降の公式戦8試合で6点目。攻撃の2枚看板、FW伊東純也とFWオルンガ(ケニア)を代表招集で欠く「飛車角落ち」の中、ホームで幸先良く先取点を奪った。

瀬川は鋭い出足で後半にも3度の好機をつくった。25分にはスルーパスから前を向き、左足でシュートも湘南GK秋元陽太の正面。30分には左サイド高木利弥からのクロスボールをゴール目前、ヘディングで合わせたが、再びGK秋元のファインセーブに阻まれた。

そして39分にはペナルティーエリアへ入り、左足でシュートを放つも、ゴール右へ外れた。結局、試合は1-1のドローに終わったが、身長170センチのセンターフォワードは大きな存在感を見せた。

瀬川は8月5日のJ1リーグ戦、北海道コンサドーレ札幌戦で今季初ゴールを挙げると、ここまでの公式戦13試合で8得点と大ブレーク。今やオルンガと2トップを組み、チームには欠かせない選手に成長した。 試合後、瀬川は落ち着いた表情で、まずは自らのゴールを振り返った。

「ゴールは決めるだけでした。ボールが見えてなくて。僕のところに来た時には(ポジショニングが)合っていなかったので、ワントラップして、ちょっと浮かそうと思ってシュートしました。ポスト当たってよく入ったな」

自らのゴール量産については「シュートを選択する場面で冷静に打ててるなと思います」と分析。そして好調の要因を問われると、「好調と呼ばれないように頑張りたいです」と表情を緩めた。

170センチ、67キロという小柄なセンターフォワード。「相手に触られたら、僕は体小さいからポジショニングがとれないので、当たられないようにしています」と自らのプレーについてそう語る。

そして瀬川を語る上で外せないのが「守備」だ。加藤望監督も「守備をしっかりして、自分が(前へ)出て行くスペースを作り出している。守備の動きが攻撃にも活きている」と分析する。

瀬川が言う。

「外国人選手だったり、これから僕と同じポジションに補強されるか分からない。どこで差をつけるかというと、守備の部分の貢献だったり、プレスバックだったり。90分計算できる選手じゃないと監督も使いづらい」

東京・日大二高出身。全国大会とは無縁だった高校時代を過ごし、サッカー推薦でなく、指定校推薦で明治大へ進学。「かなりしごかれました」。今につながる献身的なプレーはそこで磨かれ、そこから着実にステップアップ、4年時にはついにレギュラーを奪取した努力の人だ。

ザスパクサツ群馬、大宮アルディージャを経てプロ3年目の今季は柏に移籍。参考にする選手は特にいないが、試合後は必ず自らのプレーを映像で見直し、プレーについて反省を欠かさないという。まさにプロという荒波にもまれながら「出世魚」のように、大きく成長している。

「今日の引き分けをポジティブに考え、課題に取り組んでいく。しっかりコンディションを整えて次に臨みます」

次戦は14日。5年ぶりのルヴァンカップ決勝進出を狙うチームにあって、瀬川の存在感は日増しに大きくなっている。【佐藤隆志】