J2モンテディオ山形がJ1首位の川崎フロンターレを3-2で撃破する金星を挙げ、準優勝した14年以来の4強進出を果たした。前半2分にチーム得点王の小林成豪(24)が電光石火の先制ゴールを決めた。その後も互角にわたり合い、堂々と勝ちきった。J1ベガルタ仙台はJ1磐田をPK戦の末に下し9年ぶりの4強入り。これにより、準決勝で両チームが激突。12月16日は、みちのくダービーの舞台となった。

また、天皇杯の舞台で暴れて見せた。リーグ戦とは見違える姿でホームを駆けめぐり、金星をゲットした。低迷する現況で、再び活力を得る1勝。4年前、決勝のピッチに立ったMF山田は「決勝では悔しい思いをした。あの借りを返したい」。試合後はサポーターと喜びを分かち合い、結束を深めた。

今季リーグ最少失点の強敵に対し、前半2分の先制パンチが大きかった。MF中村駿がGKとDFの間にフワリと浮き球。快足FW小林が抜けだし右足で流し込んだ。細かなパスを連動させて崩す相手に対して、DF陣にも活力があふれた。前半20分にはMF安西がゴールライン近くで頭でクリア。川崎FエースFW小林のトラップやシュートは、何度も2人がかりで挟み込んで封じた。

同36分にはゴール中央に走り込んだDF坂井が、安西の右FKを頭で合わせて2点をリードした。後半4分にはカウンターで完全に切り崩した。FW汰木が左サイドを突破し、約30メートルを独走。左足で弧を描いた絶妙なグラウンダークロスに、FW阪野が走り込んでスライディングシュートを決めた。阪野は「(相手に)かなり走らされたけど、皆で団結して耐えたからこそ勝てた」と満足の表情。DF陣のクリアミスを拾われた不運な失点もあったが、8分のロスタイムを含めて2失点で踏ん張った。

天皇杯では10年度の4回戦で3-3からPKで競り勝って以来となる川崎F戦勝利。ホームでの相性の良さも生かし、通算成績を5勝6分け4敗とした。3回戦の柏レイソル、4回戦のFC東京を含め、J1を3連続撃破。4年前の決勝進出まで、あと1勝に迫った。汰木は「どこと当たっても自分たちはチャレンジャー。持ち味を100%出せば良いだけ。楽しみです」。天皇杯制覇に向け、山形が熱くなってきた。【鎌田直秀】