川崎フロンターレが柏レイソルを3-0で下し、連覇へ王手をかけた。38歳の誕生日を迎えたばかりの闘将、MF中村憲剛がチームを引っ張り、7戦負けなしで勝ち点を63に伸ばした。2位サンフレッチェ広島がジュビロ磐田に逆転負けしたため、残り3試合で勝ち点差は7に広がった。川崎Fは次節10日のセレッソ大阪戦で勝てば、2年連続2度目の優勝が決まる。

公式戦2試合連続3失点していたチームが、原点回帰で強さを取り戻した。10月24日の天皇杯準々決勝・モンテディオ山形戦、前後半の立ち上がりに失点した教訓を生かした。柏が山形戦を参考に3バックで臨んできたのは想定通り。中村、小林がキックオフ直後から猛烈なプレスをかけた。

中村は「立ち上がりで前から行くぞという姿勢を見せないと。正直90分もたないつもりでいた」。ボールを取られたらすぐ取り返す。球際で負けない基本に立ち返った。

前半21分、左サイドを抜けだしたMF守田のクロスをMF家長が左足で決めて先制する。同33分にCKから中村のアシストで追加点を奪い、試合終盤にはMF阿部がダメ押し点。中村は「走らないと話にならない」と言った上で、「やるべきことをやれば勝つ確率は高まっているのは実感している。やらなかったら山形戦みたいになってしまう。あの負けは教訓になった」。

10月31日に38歳の誕生日を迎えた。今季リーグ戦で欠場は1試合だけ。昨季に前線からの守備で新境地を開拓し、今季は昨年以上に戦う姿勢を体現する。湘南ベルマーレの梅崎ら他クラブのベテランが「憲剛さんはすごい」と刺激を受けるほどだ。この日は後半35分で交代したが「自分がチームのプラスにならないといけない年齢。チームの足を引っ張ってはいけないし、すぐクビになる年齢」ととらえ、「真剣にうまくなることを極めて突き詰めることで、足りないところを増やしていける。守備もそうだし、自分はまだまだ足りない。できることをいっぱい増やしたい」と貪欲さを口にする。

試合終了直後に広島の敗戦を知った。次節アウェーでのC大阪戦に勝てば優勝が決まる。36歳でJリーグ史上最高齢でMVPを獲得し、37歳で川崎Fの初タイトルを経験した。38歳で今もなお“成長期”にいる中村。「連覇」という新しい景色を見る日も近い。【岩田千代巳】