アビスパ福岡の井原正巳監督(51)は、FC町田ゼルビアに逆転負けした試合後の会見で「優勝という目標は達成できなくなった」と、悔しさを押し殺すように語った。

この日、東京ヴェルディに勝ち、勝ち点73で首位に立った松本山雅FCとの勝ち点差が7となり、2試合を残し優勝の可能性がなくなったことを認めつつも「昇格は可能性がある、頭を下げることなく残り2戦に全力を出したい」と前を向いた。

試合は互いに激しく攻め合ったが、シュート数3対5の数字が物語るように、最後のところでシュートまで持ち込ませない部分含め、拮抗(きっこう)したゲーム展開だった。その中、後半25分、FW城後寿(32)がMF輪湖直輝の左クロスに飛び込み、打点の高いヘッドで先制ゴールを奪った。ところが、町田が交代のカードを一気に2枚切った後半28分に流れを変えられ、1分後に追いつかれると、同35分には交代で入ったWドリアン・バブンスキー(22)に決勝ヘッドを決められた。

井原監督は「今日は町田さんに、おめでとうと言いたい。勝ち点3を取りにいったが、申し訳ない結果となった。町田さんは、アグレッシブに、やれることをシンプルに、我慢強くやってくるチーム。セカンドボール争い含め粘り強い戦いになると思った。良い形で先制を取ったが、追いつかれたのが早かった。セットプレーも町田さんの強みだが出させてしまった」と敗因を分析した。

この日は3バックで臨んだが、それも町田対策だった。井原監督は「町田さんは今日、見ても分かるように(ボールを)DFラインの裏に入れてくる。どうしても押し込まれるので、セカンドボールをいかに拾うか、ということで3バックを選択した。狙いは出せたと思うし、うまくゲームを進められたと思う」と一定の効果はあったと指摘した。その上で「町田さんの球際、粘り強さ、コンタクトで上回られた。1対1の粘り、ルーズボールで体を張ったプレーなど、チームとしてここまでやってきたことをやられてしまった、町田のゲーム」と、ぶれずに自分たちのサッカーを貫いてきた町田に屈したと認めた。

残り2試合となった中、横浜FCに敗れ、首位から自動昇格圏の2位に転落した大分トリニータとの勝ち点差が6となった。自動昇格圏に滑り込むには2戦全勝するしかない上、大分との得失点差は9あり、残り2試合で大量得点が必要な状況に追い込まれた。井原監督は「残り2試合…今日、他の結果を受けて自動昇格の可能性は残されていると思うが、大分さんとの勝ち点差6、得失点差を見ても、大量得点をすれば可能性はある」と現状を冷静に見つめた。

17年は4位でJ1昇格プレーオフに進み、準決勝では5位の東京Vと対戦。ホームのレベルファイブスタジアムが工事の入ため使えず、ロアッソ熊本のホームえがお健康スタジアムで開催し1-0で勝ったが、決勝は3位の名古屋グランパスと対戦し、0-0だったが年間順位で下回るため敗退した。その経験を踏まえ、井原監督は「(自動昇格圏は)目指すところではあるが、まずはしっかり勝ち点3を取って、可能性がある限りチームとして戦っていきたいし、厳しい状況なら少しでも上にいき、プレーオフをしっかり戦い、J1との決定戦に臨めるように、そこに向かって、しっかり準備したい。勝つことで今より下がることはない。自動昇格の可能性は、求めていきたい」と語った。【村上幸将】