52歳で立つJ1のピッチまであと2つ-。横浜FCのFWカズ(三浦知良、51)が29日、横浜市内の練習場で12月2日の東京ヴェルディとのJ1参入プレーオフに向け、取材に応じた。テレビカメラ9台、約30人の報道陣が駆けつけた中、カズは横浜FCとして12季ぶりのJ1へ強い思いを口にした。

カズは大一番を前に普段通りの表情でチームメートとトレーニングに励んだ。東京VとのJ1参入プレーオフで引き分け以上なら、12月8日の入れ替え戦に進み、そこで勝てば横浜FCの12季ぶりのJ1昇格が決まる。

「50歳過ぎてJ1のピッチに立てるチャンスがここにあるわけですから。まずはJ1で戦うことを思うより、プレーオフと入れ替え戦に勝つ。そこだけに集中したい。乗り越えなければいけない壁を乗り越えたい」

J1の舞台を「日本サッカー界のトップが戦う最高峰」ととらえ「僕もそうですけど、選手人生の中で若い選手もそこにいけるのは、この先に続いていくと思う」とクラブの未来にも目を向けた。自身の役割として「自分はとにかく練習を自分の100%でやること。毎試合いい準備をすること。それだけ」と言い切った。

今季は年間3位でシーズンを終え、敗戦数はリーグ最少タイの8。負け試合を引き分けにするなどしぶとく戦い続けた結果だ。東京Vには引き分けでも大丈夫だが「今まで通り3ポイント取るという気持ちでやりながら。普段通り」と見据えた。

51歳で現役。「サッカーが好きということが一番重要。サッカーの試合に出るための練習に対する情熱も衰えてませんし、まだまだ練習をやってうまくなりたい気持ちもある」と貪欲だ。試合に出られない悔しさは18歳でプロデビューした時のままだという。前人未到、52歳で立つJ1の風景を見るため、残り2戦にすべてをかける。【岩田千代巳】