連覇を達成した川崎フロンターレがロスタイムの劇的勝ち越し弾でジュビロ磐田を下し、本拠地で有終の美を飾った。今季初の「等々力劇場」で、磐田は残留を決められず、J1参入プレーオフに回る「悲劇」になった。

引き分け以上で残留が決まる磐田。後半34分、川崎Fから今夏に加入したFW大久保嘉人(36)のヘディング弾で先制に成功した。川崎FのMF中村憲剛(38)は「もってるなと思いました。ああいうところでチームを救える点を取れるのは彼らしさ。逆転してやるという気持ちは自分の中にあった。嘉人には負けたくなかったし」。直後に、川崎Fは右コーナーキックから、中村のキックをDF奈良竜樹(25)が押し込み同点に追いついた。FW知念慶(23)はこう振り返る。「同点になっていける感じはした。相手もばてていた。磐田は引き分けでもよかったんですよね。でも、こっちは分からなかったので。阿部ちゃん(MF阿部浩之)が『おれら、狙いに行くだけじゃない』と言っていた」。

磐田は引き分けでも残留が決まる。ロスタイムには守備的選手を投入し守りを一層固めた。川崎Fは敵陣に押し込み、はね返されても厚みのある攻撃を続けた。そしてロスタイム。DF登里享平(28)の縦パスを受けたMF家長昭博(32)がターンをしてペナルティーエリア内で仕掛けた。そしてグラウンダーのクロス。知念が待っていたが、磐田DF大井健太郎(34)の足に当たりゴールに吸い込まれた。その直後に試合終了の笛。ラスト1プレーでの「等々力劇場」だった。

これで、川崎Fはリーグ最多得点(57)、リーグ最少失点(27)での完全優勝を達成。DF谷口彰悟(27)は「そこはこだわっていたところ。失点してしまいましたけど、そこからスイッチを入れ直して、全員でいけたし、最後の最後まであきらめずに逆転にもっていけたのは自信をもっていい」と胸を張った。川崎Fのイレブンは、試合が終わった後、磐田がプレーオフに回ることになったと知った。谷口は「申し訳ないというか…、そういう気持ちはちょっとはありますけど、こればかりは勝負の世界。僕らもホーム最終戦で勝って気持ちよく終わりたいという気持ちが強かった。最後まであきらめずに逆転を狙いに行った。最後の最後まで狙い続けるのは非常に大事なポイントだと思っています」。

ちなみに、谷口はプロ1年目で23歳だった14年8月30日の名古屋戦から続けている連続試合出場記録「149」に伸ばし、横浜DF中沢、浦和MF阿部に続き、歴代単独3位となった。今年8月に警告数がリーチ状態の「3枚」(4枚で出場停止)になったが、以来、カードをもらうことなく今季を乗り切った。谷口は「とりあえず、イエローカードがリーチ状態でやっていたのでほっとした。全部出られて。よかったです。頭のどこかに(カードを)もらってはいけないというのはあったし、小さくなってプレーするのも違う。難しかったですけど、自分で整理しながらやってこられた」。来季も記録継続へ意欲を燃やした。