J1生き残りへ「ナナのカーテン」を引いた。4日、ジュビロ磐田はJ2東京ヴェルディとのJ1参入プレーオフ(8日午後2時、ヤマハ)に向け、磐田市内で練習を再開した。名波浩監督(46)が就任した14年夏以降初の報道陣も立ち入り禁止の完全非公開練習で、7日まで継続の予定だ。この日までにチケットも完売するなど、決戦ムードが高まっている。

1日の川崎フロンターレ戦での屈辱から3日。磐田市内の大久保グラウンド入り口の案内看板に、見慣れぬ文字が掲げられた。

「見学者立入禁止」

「完全非公開」

まさかの敗戦後にチームが発表してはいたが、プレーオフ(PO)東京V戦に向けて再開された練習から、外部の目をシャットアウトした。冒頭の十数分だけ報道陣に「チラ見せ」するサービスも一切ない。文字通りの完全非公開だった。

名波浩監督は、14年夏の就任以降「緊張感も感じるだろうし、見られていると感じながらプレーしてほしい」と、公開を基本としてきた。練習試合の非公開などはあったが、トレーニング自体を完全非公開にしたのは初めてだ。木村稔社長(64)も「集中させてあげてほしい」と短く語るだけだった。勝利への執念が、分厚いカーテンとなった。

04年から08年まで過去5度行われた「J1・J2入れ替え戦」では、J2勢が3度昇格を果たしている。磐田が仙台と対戦した08年も、アウェーでの1戦目が1-1。2戦目のホーム戦も2-1と、接戦の末のJ1残留だった。

今回は引き分け以上で「残留」が決まる一発勝負だ。チームに緊迫感が走る中、後押しするサポーターも早くも集結した。3日から会員への先行販売が始まったチケットは、一般販売が始まったこの日、完売した。有休を取って午前7時前から並んだという飯田柊真さん(19=会社員)は「(川崎F戦の敗戦には)声が出なかった。最後は残留できるように頑張ってほしい」と願った。

運命のラストマッチまで、残り3日。最後に笑えば、非公開に後悔はない。【前田和哉】