ガンバ大阪の日本代表GK東口順昭(32)が今季のJリーグで逆襲を誓った。

2月上旬まで実施した沖縄キャンプ中にインタビューに応じ、1月のアジア杯を経て見つけた最大の課題を明かした。同大会は日本代表で臨んだ23人で唯一の不出場。

屈辱をバネに自身と向き合った。昨季引退した偉大な先輩、川口氏や楢崎氏をほうふつさせる「存在感」のある守護神になるため、高みを求めていく。

UAEの砂漠のように乾いた心を東口は必死に取り戻した。アジア杯から帰国後、G大阪が実施していた南国沖縄でのキャンプに直行。日本に戻ってからも、よぎるのはアジア杯での悔しさだった。

大会途中、腰痛に悩まされたとはいえ、23人で唯一の不出場だった。

東口 自分自身、ファーストチョイス(正GK)で(代表に)行ったつもりやったので悔しい。2番手、3番手のつもりは全くなかった。ちょっとこたえた。

1次リーグ初戦のトルクメニスタン戦(1月9日)を控えた同5日の非公開の練習試合(35分×2本)。東口の出番は無く、大会での控えを覚悟した。

東口 練習試合も出られへんかったし(理由を)聞きに行ったらあまり状態が良くなさそうやった、と。試合より練習で状態を整えた方がいいという判断やったみたいやけど、自分自身はそんな悪いとは感じていなかったし、周りの評価だったので、悔しかった。その中でマキ(槙野)はW杯(ロシア大会)で主力から直前でメンバー変わって出られなかったつらさを経験していて、立場を分かってくれた。槙野が心の支えとなって続けられたけど、内心はすごくきつかった。

帰国後、繰り返し自問自答した。「なぜ出られなかったか」。悩み抜く中で、自身に欠けていたことを見つけた。

東口 練習の時からチームが良くなるために自分も周りも動かして攻守の意思疎通をしっかり取れていたかというと、自分の中ではできてへんかった。人それぞれコーチングはあるけど、俺にしかできひんコーチングで日本代表のゴールを守る特別な存在になれていなかった。ただシュートを止めるだけのGK。特別感がなかった。自分が納得して突き詰めたものが評価されてから、また代表に呼ばれたら今まで代表でつかめへんかったものがつかめる。技術より存在感の差。

目指すべき姿はハッキリした。これまで代表のゴールを守ってきた先輩たちのことだ。

東口 (川島)永嗣さん、楢崎さん、(川口)能活さんはみんなプレースタイルは全然違うけど全員特別感をすごく感じる。自分で探して実践していかないと自分のものにはならない。今年の課題。ガンバでは圧倒的に特別感を出さなあかんし、それで結果が出たらまた代表に呼んでもらえる。

昨季の始めから代表の守護神になるため、技術面の改善は取り組んできた。G大阪の松代GKコーチと二人三脚でステップなどを修正した。

東口 やれることが増えている。ポジションを取るスピード、ステップワークも、ステップが違うかったら見方が変わる。ステップを変えて視野が広がった。ビルドアップの時に(パスを)つける場所の選択は一番変化を感じる。

挑戦を恐れない東口だからこそ、見えた次の段階。33歳になる今年も諦めず、日本一の守護神を目指し続ける。【取材・構成=小杉舞】