2大会ぶり3度目のアジア制覇を目指す浦和レッズが、初戦でブリラム(タイ)に3-0で快勝した。1分け2敗だった今季の公式戦初勝利。日本代表DF槙野智章(31)が後半5分に頭でチームの今季初得点を奪い、クラブの無得点ワースト記録を320分で止めた。その後はU-20代表MF橋岡大樹(19)がプロ初の2ゴールで初白星に貢献した。川崎Fは敵地で上海上港(中国)に0-1で敗れた。

  ◇    ◇    ◇

待ち焦がれた得点が浦和に生まれた。後半5分の左CK、槙野がマークを外して頭でゴールに押し込む。今季のチーム第1号。「武器」と自負するセットプレーで「点が取れない中、攻撃陣を助けたかった。今日ほどチームにスイッチを入れられたゴールはなかったかも」。昨季もチーム初弾をマークした副主将がまた決めて、初勝利に導いた。

16日の富士ゼロックス・スーパー杯から無得点だった。開幕から3試合連続は08年に並ぶクラブワースト記録。その08年は計289分で得点が生まれたが、今回は320分。最悪の流れを止めた。責任感で結果を出した。今年1月のアジア杯後、休みは1日だけ。2月2日に帰国し、4日から志願して沖縄合宿に合流した。そこでも無休を貫いて練習を重ねていたセットプレーで、逆境から救った。

後輩も再生した。2得点のMF橋岡が2日のリーグ北海道コンサドーレ札幌戦でメンバー落ちすると、すぐ話しかけ「相手が嫌がることをしよう。前を向いて仕掛けろ」とアドバイス。ハーフタイムにも「もっと中に入っていけ」「自信を持て」と鼓舞した。全3得点に槙野が大きくかかわった。それでも「まだ悪い流れを断ち切ったとは思っていない」。過去にACLで優勝した07年と17年は、完封勝ち発進。今年も続いたが、最後まで表情は緩めなかった。【木下淳】