ベガルタ仙台がヴィッセル神戸に敗れ、今季リーグ戦初勝利はお預けとなった。

前半12分、本拠地初お披露目となったMFシマオ・マテ(30)の来日初ゴールで先制したが、神戸の大物外国人「VIPトリオ」絡みで3失点を喫し、逆転負けした。東日本大震災から8年となる復興応援試合には、02年鹿島戦で記録したユアスタでの最多観客動員数を更新する1万9503人が集結。歓喜の勝利を届けることができず、開幕3試合で勝ち点1の16位スタートになった。

   ◇   ◇   ◇

震災から8年の復興応援試合だったが、仙台は満員のサポーターの声援に応えることができなかった。渡辺晋監督(45)も悔しさをにじませた。

「反骨心を持ってビッグクラブに立ち向かっていく姿を示したかったが、被災地に勝利を届けることができずに残念です。本来であれば顔を上げて立ち上がる姿だとか、(逆境を)ひっくり返すことが求められていたができなかった。ただ、これからシーズンは続いていく。我々が今日できなかったこと、味わった悔しさをはね返していくことが大切。そういう姿を残りのゲームで見せ続けていきたい」

それでも新戦力が躍動し、過去最多を更新する2万人近いサポーターを納得させた。元モザンビーク代表で、スペインリーグでプレー経験のあるシマオ・マテが前半12分、名刺代わりの一撃をヘッドで流し込み、先制の移籍後初ゴールでスタンドを歓喜させた。守っても鋭い寄せで、FWダビド・ビジャ(37)MFアンドレス・イニエスタ(34)FWルーカス・ポドルスキ(33)の「VIPトリオ」から、何度もボール奪取。サポーター席がどよめいた。

リーグ戦初先発で本拠地デビューを果たしたMF石原崇兆(26)は、左サイドを駆け上がって何度もチャンスメーク。期待のレフティーMF吉尾海夏(20)も後半途中出場し、右サイドの崩しからFW長沢駿(30)に2度も決定的なラストパスを供給した。試合後、イニエスタと旧交を温めたシマオ・マテは「前半はしっかりと組織されて、うまくボールを奪って前線に供給できた。いいスタートが切れたと思うし、次につなげたい」と前を向いた。【下田雄一】